【 CS 】酔生夢死【東カニ】 (ページ17)

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その日の討伐対象のカニバリズムは後から来たエリミネーターが対応してくれたらしい。とどめを刺す直前の出来事だったため、カニバリズムは弱りすぎて逃げられなかったようだった。

そして、後日判明したのだが、纏里が殺してしまった人は、討伐対象となっていたカニバリズムの恋人だったらしい。恋人がカニバリズムであるのがわかっても、それでもなお、恋人が殺されるのを助けたかったのだろう。カニバリズムの味方をしたのが悪いとかそんなことを言うつもりはない。自分の注意不足だ。わざわざ人間が乱入してくるなんて思わなかった、なんて言い訳にもならない。カニバリズムだけど一緒にいたいなんて気持ちも、カニバリズムを愛する気持ちも、どちらも欠片ほど理解ができなかったが、自分の浅慮が招いた結果であることは変わりがない。

もし家族や恋人がいて、彼らが殺されそうになってるのならきっと助けたいと思うのだろう。昔読んだ絵本にはそういう家族愛とか親愛的なものが書いてあったから。きっとそれが正しい感情なのだと纏里は何となく理解している。

死んだ人はもう戻らないし、何をしても帰っては来ない。殺してしまった人の親族には思いっきり殴られたし、怒鳴られた。普段はどれだけ怪我しても痛くないのに、殴られた時は何故か本当に痛くて泣きそうになってしまった。ただ殴られただけなのにこれほどまで痛いのは初めてだった。本当に泣きたいのは纏里自身でなく、殺してしまった人の家族や友人だってことも頭では分かっていたのに。

その後はエリミネーターの仕事続けるか悩み、一時期は家の中にこもりがちになっていた。一気にⅢ類まで落ちてしまったし、自分は人殺しだ。一般人であればきちんと処罰を受けるのに、自分はエリミネーターだからという理由でそれを避けられているのだ。その事実すらも罪悪感で押し潰されそうだった。ずっと自分を「人殺し」と呼んだあの遺族の悲痛な顔が頭から離れなかった。

そんな中尋ねてきたのは、自身をエリミネーターの仕事に誘ったあの人。あの人は纏里にこのまま自分は殺人犯だと思い罪を背負って生きていくのか、殺した人以上に多くの人を救って罪を償うのかを尋ねた。

人殺しでも、自己満足でも、誰かを救っていたい。そうでもしないときっと罪を償うことはできないんだとやっと理解した。自分を救ってくれだなんて、人殺しの自分には口が裂けても言えないから。人を救うことで許されたい間接的な自己への救済である。

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