世間は勇者の目を見るか？ (ページ37)

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未だ幼き龍の爪ページ37

｢“ドラゴンクロゥ”ッ！｣
｢踏み込みが甘い｣

必死に振った爪が空を切り、目の前の相手から叱責が飛ぶ。

｢上半身だけじゃねぇ。しっかり大地を踏みしめて、そこから腰の回転を利用して腕を振るんだ｣
｢っ、こうか？｣
｢そうそうそういうイメージだ｣
｢身体全体を使って、どーんって！｣
｢……アバウト……｣

事務所の裏庭、東矢と奏乃が龍騎の稽古をつけていた。

まだまだ未熟な龍騎の動きは力任せでぎこちなく、それでは威力を出すどころか攻撃すら当てられない。

｢いいか、まずは当てろ。爪の刃部分をきっちり当てることを意識して攻撃するんだ。力はまだ入れなくて良い。折角の身軽さが死んでるぞ｣
｢っ、おう！｣
｢……草薙さんに言いたいこと全部言われました……｣

しょぼんとする奏乃だが、龍騎の傍らで浮遊する大量のレンガを次々カチ割って行っており、龍騎が若干引いている。

｢はいあと半分だぞー｣
｢はーいっ！｣
｢あれが普通なのか……？｣
｢あれは俺は出来ん｣
｢草薙さんは頭脳派ですから！｣

女性の、しかも成人していない小柄な身からは想像も出来ない怪力。

｢龍騎はあれじゃなくてだな、どっちかって言うと……美冬に近いのか？機動力を生かした戦闘を目指してくれ｣
｢押忍！｣
｢よしじゃあ奏乃が砕いたレンガに乗ってみろー｣
｢いや無理だって！｣

……龍騎の修行は先が長そうだ。