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あれから、私は会場へは戻らず、ずっと夜風に当たっていた。
戻る訳にも、帰る訳にも行かなかったから。
はあ……こうなるのだったら、ダメ元でも周りの助けを煽ぐべきだったわ。
ふらふらと噴水の周りを歩いていく。
水面に写る自分と目が合うと、疲れきった顔をしていたので「不細工な子」と吐き捨てて指で波紋を立てて歪めた。
「不細工、か。それは一体、どこの誰のことだ?」
「そんなの私に決まって……!?」
あまりにも自然に会話してしまって反応が遅れてしまったけれど、そもそもここに会話出来る人がいることこそおかしい。
「えっ?」
振り返ると、闇よりも黒く麗しい長髪と、雪のように白い肌、そしてまるで炎のような黄緑の瞳をした眉目秀麗な男性が立っていた。
しかしひとつだけ、今まで会ってきた人と違う点を上げるとするならば、その頭上にある大きなふたつの角だろう。
それよりも、私の胸に満ち溢れていたのは、彼に対する異様なほどの大きい感情。
よく分からない緊張感と……これは、恐怖?
「……もしかして、僕を怖がっているのか?」
「い、いえ!そんなことは」
図星なそれに、声が裏返ってしまった為に説得力がない。
「いや、別に構わない。そういう感情には慣れている。僕を畏れるなと言われてそう出来る者などそうそういないからな。」
どこか諦めた流し目をした目の前の彼。
それも一瞬で消し、私を見据えたのでなぜか負けじと見返してしまった。
「……、ところで、貴方はどこのどなたでしょうか。」
「まさか、僕を知らずに恐ていたのか?」
「え、っと、招待客全員とは顔を合わせたはずなので……もしかしたら名簿に漏れが……」
いそいで記憶を回し、招待客のリストと、挨拶に回った人達を照らし合わせる。
一応あの人魚たちで一通り挨拶を合わせたはずだけれど……。
「名簿に漏れは無い。僕は招待されてないからな」
「え…………はあ!?」
なんてことの無いふうにそう言った彼に、恐怖よりも驚きの方が今の時点では勝っていた。
「招待客じゃないの!?じゃあ誰?本気で誰なの!?」
「慌てることはない。そもそも、僕は招待されるはずだったのに、お前たちが招待状を出さなかっただろう。」
「だからって屋敷の敷地に入り込むのはいけないことだわ……。」
ため息をひとつつき、魔法で紙とペンを取り出した。
「……じゃあ、貴方の名前と住所を教えて。次からはちゃんと招待するわ。」
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あさき(プロフ) - 好きな作品に出会っちゃいました (9月14日 19時) (レス) @page14 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - チョコ狐さん» ご指摘ありがとうございます^^*修正しました (2021年2月7日 23時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ狐 - あのぉ、5のところの今になってはくことができてとこも嬉しいのところ、「吐くこと」ではなく「履くこと」、ではないですかね?間違っていたらごめんなさい。好きです!ころからも頑張ってください! (2021年2月3日 22時) (レス) id: fa7ecfc75a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - マザーグースさん» 誤字の報告ありがとうございます^^*早速修正してきます (2021年1月29日 0時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 12のジェイドの台詞、「シェイド家」のところが「ジェイド家」になってますよ(コソッ)。面白いです、更新頑張ってください! (2021年1月29日 0時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マナ石 | 作成日時:2021年1月13日 23時