奪いに来てよ、実弥。

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いただきまーす、とお互いに両手を合わせる。




映画を見終わる頃にはもうすっかり日も沈んでいて。
とくにこのあと用事のない私たちは
自然とご飯どうする？という流れになり、
実弥がオムライスがいいと言うので
ショッピングビルに入っている
オムライス専門店へと入った。



私はトマトソースのオムライス。
実弥はデミグラスソース。




おいしいね、なんて言いながら食べ進める。
周りを見ると友達同士、カップル、親子
さまざまだ。




傍から見たら私たちは
どう見えているのだろうか？



(…何考えてるんだろ、私。)



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｢ん、ひとくちやるよ｣

なんて声に前を向くと
スプーンにひとくち分の量を取り
こちらに向けている実弥が。
俗にいうあーん、の状態で待っている。


『へ！？それはさすがに恥ずかしくない！？』


いや確かに実弥のオムライス美味しそうだなって
思ってたけど！
あわよくばひとくち…なんて思ってたけど！
…もしかして顔に出てた？
ああなんて恥ずかしいの…。


なんて思っていると



｢いらねーのかァ？｣と急かされ


『いる…………。』


パクリ、とひとくち。

うん、とても美味しい…と思う。



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味覚は正常なはずなのに、
胸の高鳴りのせいで脳に美味しさがイマイチ伝わってこなかった。









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