【短編集】ＫＺとアーヤのほのぼのライフ♪ 【探偵チームＫＺ事件ノート】

【兄彩】＊世界一可愛い俺の妹＊　キャラ崩壊（？）　（リクエスト、シスコンお兄ちゃんより） ページ18

『可愛い可愛い妹が、こんなに大きくなったのか・・と感動を覚えた。もうすぐ、妹は結婚式をあげる。俺は、その姿を心から祝福しようと思う』

そのページを読み、俺は静かに本を閉じた。
このシリーズは、昔から続く兄妹小説で、密かに俺のお気に入りだったが、この日最終巻を向かえ、俺はそれを静かに読んでいた。

不器用で人見知りな妹と、そんな妹が可愛くて可愛くて仕方がない兄のお話だ。

「・・・アーヤの結婚式、かぁ」

呟いてみるが、なんだか実感が沸かない。
アーヤが結婚することになったら、俺は素直にお見送りできるだろうか。
多分・・いや、絶対に無理だ。

相手がどんな奴だろうと・・俺よりアーヤのことは知っていないだろうし(俺はアーヤが産まれたときのことを知っているし)・・・。

何より、俺ほどアーヤのかわいさを熟知はできる人間など、存在しない。
“お兄ちゃん”！そう言ってはにかむアーヤは、世界一可愛い。ということを、俺は誰よりも知っているからだ。


「・・・お兄ちゃん、何読んでるの？」

後ろから声がし、びっくりして後ろを向くと・・当然、そこには天使――アーヤがいた。

「な、なんでもいいだろ」

思わずぶっきらぼうに言ってしまった。・・・いっつもそうだ、アーヤのことが可愛くて可愛くてたまらないが、そのオーラを隠そうとするあまりに、そのような口調になってしまう。

「あ・・えっと、ごめんね」

アーヤが謝るのは道理がおかしい(関係ないが、悲しげな表情のアーヤも可愛い)。
ここは、俺が謝るべきだ。

「いや・・俺が強く言いすぎだ。悪い。この本はな・・」

と言って、口を止める。
本の題名は、『妹が世界一可愛い件』。
内容と題名がまんま過ぎて、母親にですら隠して持ってるのに(この本を隠しすぎて、母にはあぁいう系統の本と誤解された)、実の妹アーヤには教えられない。

「・・家族愛を描いたとあるフィクション小説だ」

「へぇ、そうなんだ！お兄ちゃんが小説読むとこ、もしかしたら初めて見るような気がした。今度、見てもいい？」

「読み終わってからその約束覚えてたらな」

当然、もう読み終わったが、貸す気はない(貸せるわけがない)。
だから、今度書店で家族愛の小説探しにいかなければならないな。

――だが、小説を読んでいるということで、アーヤとの話の種が見つかってよかった。

今度、アーヤに兄好き妹の小説でも、買ってあげようか。

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