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二十日目 ページ10

猫の、親子を見ていた。

「……どうして、」

君たちは、幸せに生きている??
ほぼ無意識のうちに足を踏み出すと、ぐっと二の腕を掴まれた。

「A」

諭すような穏やかな声に、私は我に返る。

「……ありがとう」

手が震える。
後少しで、私は、何をするところだった??

「大丈夫だ。お前は何もしていない」

わたしは、彼に手を伸ばした。
彼の頬に触れる。

「シニガミも、私の手が温かい?」

脈絡のない質問に、シニガミは優しく微笑んで頷く。

「ああ。すこし熱いくらいだ」

私も笑って、シニガミの両手をとった。
そしてそれをそのまま、自分の首へ持って行く。

「ねえ、私を、殺してくれ」

彼の優しい笑顔は、悲しげに歪んだ。
唇が何か言いたそうに動いたが、やがて諦めたように深いため息をついた。

ぐ、と首にまわされた手に、力が込められる。
ゆっくりと、意識が遠のこうとしている時、不意に酸素が流れ込んできた。

咳き込みながら、私はシニガミを見上げる。

「おれは、どうして、」

彼は泣いていた。
私は、彼がかわいそうになって、近くによる。

「私が、猫を生かそうと出来ないように、君にも私を殺そうと出来ない時があるんだよ」

私は再度、彼の手をとって、自分の首にあてた。

「次は、きっと出来るよ」
「……できない」

彼は、何かを恐れるように手を引いてしまう。

「でも、10日後には、できなきゃ」

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Niko(プロフ) - フォローさせていただきました......!こちらこそよろしくお願いします! (8月20日 18時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 作りました!きっかけを頂きありがとうございます!ご負担になった場合はフォロー外して頂いて構いません。よろしくお願いします! (8月20日 15時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
Niko(プロフ) - 返信ありがとうございます、嬉しくて泣きそうです!もしアカウントをお作りいただけるのでしたら本当に嬉しいです......! (8月20日 13時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 無視して頂いて大丈夫です。もし需要があるようでしたらアカウントを開設します。いつも作品を読んで頂いて本当にありがとうございます。 (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 良いかと思います。ただ、最新の物語が一番好きでいらっしゃるという貴方のような奇特な性癖の方(すみません)を、正直に申し上げますと逃すのは惜しいため、新しくアカウントを開設した場合に繋がらせて頂くことは可能でしょうか?ご気分を害してしまったようでしたら (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:餅屋 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2014年3月18日 18時

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