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教室の空気が一瞬凍った。その後で誰かが泣き出した。下を見たクラスメイトが叫び声を上げた。それら全てが現実じゃないみたいに遠くて、私を責めたてる声もよく聞こえずに頭がぐわんぐわんと痛んだ。

授業は取りやめになり、生徒全員に下校が命じられた。
私はその日の夕方に学校から呼び出され、担任から彼女が屋上から身を投げた理由に心当たりはないか、と優しい声で聞かれた。
ありません、と答えると担任は気遣わしげにそうか、とだけ言った。遺書に私のせいで死ぬことにした、と書いてあったのだろうと思った。

母はそれを察したようだったが、何も言わなかった。ただ私の手を握って教室を出て、車に乗せてくれた。幼少期以来母と手を繋いだことなどなかったが、温かい感触にすこし気分が落ち着いたように思った。

私は部屋のベッドで膝を抱えた。何ひとつとして心当たりはない。親友の彼氏と話したことすらないし、親友が嘘をつくほど私を嫌っていたとも思えない。彼女を怒らせるようなこともしていなかったはずだ。

「気は変わったか」

私は目を上げた。
死神が目の前に立っていた。
私は反射的にそばの目覚まし時計を掴んで彼に向かって投げつける。目覚まし時計は彼には当たらずに酷い音を立てて割れた。

「貴方がやったのか」

そう叫ぶと、彼は低く笑った。

「そうだ。本来の寿命より早いが、特に不都合はなかった」
「戻せ」
「それは出来ないな」

そもそも、と彼は続ける。

「貴方が同意すれば彼女は死ぬことは無かった」

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Niko(プロフ) - フォローさせていただきました......!こちらこそよろしくお願いします! (8月20日 18時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 作りました!きっかけを頂きありがとうございます!ご負担になった場合はフォロー外して頂いて構いません。よろしくお願いします! (8月20日 15時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
Niko(プロフ) - 返信ありがとうございます、嬉しくて泣きそうです!もしアカウントをお作りいただけるのでしたら本当に嬉しいです......! (8月20日 13時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 無視して頂いて大丈夫です。もし需要があるようでしたらアカウントを開設します。いつも作品を読んで頂いて本当にありがとうございます。 (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 良いかと思います。ただ、最新の物語が一番好きでいらっしゃるという貴方のような奇特な性癖の方(すみません)を、正直に申し上げますと逃すのは惜しいため、新しくアカウントを開設した場合に繋がらせて頂くことは可能でしょうか?ご気分を害してしまったようでしたら (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:餅屋 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2014年3月18日 18時

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