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「A、荷物置けたら手洗うからついてき。」
『あっ、はい。』
北さんの部屋にリュックを置いて、ブレザーを脱いでカーディガンを着る。
ぱっと北さんの方を見るt…
『え、ちょ!?すみませんッ!!』
「え?」
シャツを脱いで、スウェットを着ようとしていた北さんと目が合う。
じょ、上半身、は、はだ…
「あ、すまん。いつも帰ったらすぐ着替えとるから癖で。」
『い、いやこちらこそ!!廊下で待っときますね!!』
慌てて部屋を出て、ドアの前にずるずると座り込む。
『北さんて、天然タラシなん…??』
「誰が天然タラシや。」
『うわぁあ!?聞こえてたんですか、すみません…』
あかん、天然怖すぎる。
.
「はい、どうぞ〜。遠慮せんと沢山食べてな。」
『うわぁ…!』
つやつやと宝石のように輝くお米に、白い湯気がたつお味噌汁。
かぼちゃの煮付けに、豆腐ハンバーグ。色の良い野菜サラダ。
『すごい…美味しそう…。』
「その反応やと、ここ最近ずっと食生活乱しとったな。」
『うっ…』
「せやから、たくさん食べや。」
ゆっくり手を合わせて、目を閉じる。
『いただきます。』
「いただきます。」
かぼちゃをお箸でわって、口に入れてもぐもぐと噛む。
『……!おいひぃ…すごく甘い。』
「はは、せやろ。婆ちゃんのご飯はほんまに美味いから。」
久々にまともな晩ご飯。
つやつやのご飯が思ったより熱くて、思わず声を漏らす。
「Aは猫舌やな。」
『うぅ…、』
からかわれた気分で、ちょっと恥ずかしい。
でも、本当に美味しい。噛むたびにご飯に気持ちが注がれてる感じがする。
『……、』
プチトマトを食べようとお箸を出した時、何故か小さい頃の記憶が脳裏に浮かんだ。
『ちょぉサム!!俺のトマトとんなや!!』
『何やねん、残しとるのが悪いんやろ。』
『理不尽!!なぁA、1個ちょーだい…』
『ん!』
『やば、こぼしてもーた!』
『あんたら行儀悪いわ!!』
『……ッ、』
ぽた、ぽた、と机にしみができる。
あかん、また北さんに気遣わせてまう。
「ティッシュいるか。」
『すみませ、…ありがとう、ございます。』
慌てて鼻をかんですすり、野菜にがっつき豆腐ハンバーグを頬張る。
「治みたいによう食べるなぁ。」
気がつけばご飯を食べるスピードは速くなっていた。
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こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
月三沢(プロフ) - 内容もそうだけど題名の伏線回収が良すぎる。主様神としか言いようがありません (2月17日 18時) (レス) @page50 id: cb6a9a20f8 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - もう泣いたりドキドキしたり感情がとても忙しかった…!とても良い作品で何回も見直してしまいました! (12月30日 0時) (レス) @page50 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時