僕っ子アーヤは知っている

立花王子 ページ4

授業が終わり、リュックを背負い、帰ろうとする。




その瞬間！


「彩斗、帰ろーぜ！」

「私たちともっ！」



数人の男子と女子が一気に僕の周りを囲んだ。




……また合わせなければいけない。


必死に笑顔を作ろうと口角を上げた。



「良いよ、一緒に帰ろ！」




僕を中心にみんなで歩いていた。

そして、僕より一歩早く歩いていた女子が、校門から出ようとした瞬間！




横から自転車が勢いよく走ってきたんだ。




危ないっ！


無我夢中でその女子の腕を掴み、自分の方へひっぱり寄せる。




その衝撃で僕が女子を胸の中に抱いて、後ろに倒れたたんだ。



だ、大丈夫！？

「どこも怪我してない！？」



その女子はコクコクと頷いて、元気そう。




はぁ、良かったぁ！




胸を撫で下ろすと、隣に居た男子が真顔で言った。

「お前……イケメンかよ。」




え、っと、突然だね。

「だってよ、危ないところを助けるとか、ただのモテるやつやん！！
　反射神経、少しくらい分けろ！」




その男子は、怒りっぽく言いながら、僕に手を差し伸べる。

……素直じゃないなぁ。




笑いながらその手を掴み、それと同時に、一緒に倒れた女子の片腕を掴んだ。


そして、男子が僕の手を強く引っ張り、その勢いで立ち上がった。






「僕より、君の方がずっとカッコいいよ。
　手を伸ばしてくれてありがとう。」


「うっせ！素直に言われると照れるっつうの！
　しかも、お前にかっこいいって言われても説得力ねーし！」




ははっ、ごめんってば。


男子と戯れていると、僕の服の腕をチョンチョンと誰かが引っ張る。

振り向いてみると、それはさっき助けた女子。



ん？どうしたんだろう？

「あ、あのさ……助けてくれてありがと。
　それと、迷惑かけてごめんね。」




おかしなことに、女子は顔を真っ赤にしていたんだ。






もしかしたら、事故に遭いそうになったことを恥ずかしがっているのかも。

そうなら、慰めないと……！




「君が助かって良かった。
　今後、こういうことがないように気をつければいいよ。」


笑った方が落ち着くかと思って、プラスでにっこり笑う。


すると、その女子は走って帰っていったんだ。





えっ！？かける言葉、間違えた！？




すると、男子は眉間にシワを寄せた。

「またお前のファンが増えた。
　俺、あの子、結構気になってたのに……。

　これは一種の宿命なのか。」






はて……？

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