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「えぇえ?!川上さん辞めるんですか?!え、なんで?!?」
「はいはい取り敢えずこうちゃん落ち着こうか」
「いや、落ち着けるわけないでしょ?!一大事ですよ?!?てか須貝さん落ち着きすぎじゃない?!?」
他のメンバーには、後日改めて伊沢さんと俺の口から伝えた。
こうちゃんや山本は辞めると言った俺を信じられないとでも言いたげな瞳で見つめ、なんでなんでと詰め寄ってくる。このQuizKnockのムードメーカーな彼ららしい。
反対に須貝さんや福良さん、河村さん達は優しい目で俺を見つめ、口々に「お疲れさん」「お疲れー」と労りの言葉を投げ掛けてくれ、他所でも頑張るんだぞ、と俺の突然の門出を本気で後押ししてくれていた。どちらも暖かくて、優しかった。
かなり初期の方から一緒に活動してきたライターや、最近加入したライター、ずっとお世話になってきたエンジニアの人達とも色々と話をして、別れを惜しまれたり逆に軽く「退社したらフットサルしようぜー」なんて言われたり、三者三様な反応をみさせて貰った。
「A」
そして今日ここに居る人物での最後が、Aだ。
まだここを退社するまでは、半月ほどある。長いようで短くて、短いようで案外長いその期間で、俺は今日顔を合わせられなかった人達とも話をするつもりだ。
でも今は、この目の前で俯いている優しい子と話をするのが、俺の中での最優先事項だ。
「……」
「ごめん、言っとらんで」
「……」
「な、A。顔あげて」
「……」
「A、お願い、こっち見て」
今日も仮眠室で読書をしていたらしい彼女は、俺が顔を覗かせたとき、隅っこに踞っていた。
本当は辞めるという報告の時、Aもその場に居た。けれど彼女は俺が話しかける前に走っていってしまって、最後にゆっくり時間を取ろうと、一番最後に回ってきたのだ。
裏切られた、と思わせてしまっただろうか。それとも今日までなにも言わなかった俺に、幻滅しているのだろうか。
なんにせよこんな時くらいしっかり目を見て話したくて、俺は俯いているAの頬を両手で包み、優しく上を向かせる。
……しっかりと顔の見えたAは、案の定泣いていた。俺なんかのためにも、泣いて、くれていた。
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白菜(プロフ) - 凛花さん» 気づくのが遅くなってしまってすみません!イラスト気づいて頂けましたか……!ご想像通りの八神ちゃんが描けていたみたいで良かったです!! (2020年8月26日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - イラスト…イラストが…!!もう八神ちゃんですね…可愛い…私の想像した八神ちゃんだ…尊い…(語彙力低下) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 0e33e6ca02 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - るるあ。さん» ご指摘ありがとうございます!キーボードが押せてなかったのかもしれません…早急に直させて頂きました!るるあさんも体調管理には十分にお気をつけて! (2020年8月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
るるあ。 - ページ48の後半の「ひしひし」の部分、「ひしひ」になってます…いつも更新ありがとうございます!このご時世なので、お身体には十分お気をつけくださいね! (2020年8月8日 15時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 藍知さん» Sgさんですよ…ほれほれ……() (2020年8月8日 13時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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