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「Aちゃん、居る?」



恐る恐る、今探している少女の名前を紡ぐ。だがやはり返事はない。それがどうにももどかしく、ドアの取っ手に手をかけてゆっくりと奥へ押し込む。
当たり前だが、仮眠室も他の部屋と同様に真っ暗だった。少し頼りないスマホの明かりで中を照らし、一歩一歩慎重に中に入る。



___ガタッ



「っ……え、Aちゃん?!」



背後からした物音に慌てて振り返れば、そこには先程からずっと探していたAちゃんが毛布にくるまって、俺を見上げていた。その呼吸は荒く、大きな瞳からは止めどなく涙が溢れていて、どう見ても大丈夫そうには見えない。

彼女の傍には、前に見たのとはまた違う本が転がっていた。朝が来る、という本だった。



「Aちゃん、どうしたの、大丈夫?雷怖い??」

「ち、が……ッ、わた、なべさ……こわい、A、ひとり……こわいの……っ」



正面にしゃがみこんだ俺の腕を弱々しく掴んで、涙ながらに訴えてくるAちゃんからは、いつものような大人で落ち着いた雰囲気は感じられなかった。喋り方もどこか拙く、いやいやと首を横に振る姿は、まるで幼稚園児くらいの幼い子のようで。

咄嗟に、毛布に包まれたAちゃんの体を抱き寄せる。携帯がゴトリと音を立てて落ちたのも気にせず、俺はただ強く、強くAちゃんを抱き締めて、優しく背中を撫でた。



大丈夫、怖くない、怖くないよ。Aちゃんは、一人じゃないから。ね。



「やだっ、おいてかないで、ッ、わたなべさ……っ」

「大丈夫、置いてかない。俺はここに居るよ。どこにも行かないから」



耳元で、彼女が悲痛な叫びをあげる。あぁ俺は、一体Aちゃんの、何を見ていたんだろう。


思っていた以上に、俺はなんにも見てあげれてなかった。学校でのことだって俺はなんにも知らないし、勉強やそれ以外の事も他の人に任せっきりで、彼女の心の奥なんて、見ようともしてあげなかった。

ただ表面上だけ見て、あぁこの子は大人な子だなぁ、なんて馬鹿げたことを思ってた。なにも知らないくせに勝手に、そんなレッテルを彼女に、貼り付けてしまっていた。


___俺の方がちゃんと、Aちゃんに、関わろうとしてあげれてなかった。








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白菜(プロフ) - 凛花さん» 気づくのが遅くなってしまってすみません!イラスト気づいて頂けましたか……!ご想像通りの八神ちゃんが描けていたみたいで良かったです!! (2020年8月26日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - イラスト…イラストが…!!もう八神ちゃんですね…可愛い…私の想像した八神ちゃんだ…尊い…(語彙力低下) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 0e33e6ca02 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - るるあ。さん» ご指摘ありがとうございます!キーボードが押せてなかったのかもしれません…早急に直させて頂きました!るるあさんも体調管理には十分にお気をつけて! (2020年8月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
るるあ。 - ページ48の後半の「ひしひし」の部分、「ひしひ」になってます…いつも更新ありがとうございます!このご時世なので、お身体には十分お気をつけくださいね! (2020年8月8日 15時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 藍知さん» Sgさんですよ…ほれほれ……() (2020年8月8日 13時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月2日 12時

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