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「ただいま戻り……ん?」
ケーキ屋からは特に寄り道せずにオフィスへ戻ってきたつもりだったのだが、オフィス内はいつも以上にバタバタと忙しそうだった。いつもは付いている筈の明かりも一切付いておらず、足元もあまり見えない。
どうかしたのだろうか___そう首を傾げつつ靴を脱いだ刹那、地響きがするほどの雷鳴が室内にどよめいた。そういえばさっきも下で雷が鳴っていたのを聞いたような。なるほど、落雷で停電したのか。
スマホの明かりを頼りに編集部屋に入れば、やはり突然の落雷で飛んでしまった機器もあったのだろう。エンジニア陣が慌ただしく部屋中を行き来して情報伝達を行っており、俺は邪魔にならないよう急いで自分のデスクに戻る。
「あ、こうちゃんお帰りー」
「ただいまです。停電ですか?」
「そうそう。ついさっきね。お陰で俺のPC君も起動しなくなってまじ困ってる」
近くに駆け寄ってきた須貝さんの手中には確かに画面の真っ暗なノートPCが居り、何度彼がその場で電源ボタンを押しても全く起きそうにない。これは本格的に故障したと見て間違いないだろう。
こう言っちゃなんだが、俺外出してて良かったー。
一応念のために自分のPCの動作確認をしたが、問題は特に無かった。安堵からかはぁっと昨日とはまた違うため息が漏れる。
今このPCには、バックアップを取ってない記事や企画書や課題類がかなり入ってる。いつもは面倒くさくて後回しにしていたが、今日辺りに全部バックアップを取っておいた方が良さそうだ。
「……あれ、そういえば、今日はAちゃん来てないんですか」
「ん?いや、今日も仲良く伊沢くんと手ぇ繋いで来てたけど……そういや居ないな。どこ行ったんだろ」
てかよくこの暗闇で気づいたな。なんて言って須貝さんは笑い、俺の肩をぽんっと叩く。それが何を意味していたのかは、鈍感な俺でもなんとなく分かった。これを期に距離詰めろ、な。そんな台詞が聞こえた気がした。
こうして俺は予期していなかったAちゃん捜索係に任命され、他の人の邪魔にならないように気を付けながら、部屋を廻る。まずは隣の会議室。
「失礼しまーす」
「あ、こうちゃんお帰りー。外大丈夫だった?」
「大丈夫でしたよー。それより福良さん達の方が大変そうじゃないですか?」
「まぁねー。いやぁ、流石にこれは予想外だったなぁ」
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白菜(プロフ) - 凛花さん» 気づくのが遅くなってしまってすみません!イラスト気づいて頂けましたか……!ご想像通りの八神ちゃんが描けていたみたいで良かったです!! (2020年8月26日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - イラスト…イラストが…!!もう八神ちゃんですね…可愛い…私の想像した八神ちゃんだ…尊い…(語彙力低下) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 0e33e6ca02 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - るるあ。さん» ご指摘ありがとうございます!キーボードが押せてなかったのかもしれません…早急に直させて頂きました!るるあさんも体調管理には十分にお気をつけて! (2020年8月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
るるあ。 - ページ48の後半の「ひしひし」の部分、「ひしひ」になってます…いつも更新ありがとうございます!このご時世なので、お身体には十分お気をつけくださいね! (2020年8月8日 15時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 藍知さん» Sgさんですよ…ほれほれ……() (2020年8月8日 13時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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