知らなくていい。 【テルオミ】 ページ8
ヒバリさんと交代して、僕はラウンジで休憩に入った。
窓辺の席へ座り、アラガミの資料とフィールドマップを開く。
そして懐から一枚の写真を取り出した。
写真の縁は持ち歩きすぎて破れてしまったが、中央で笑っているAさんには傷はない。
写真を抱き締めるようにして包めばAさんを抱き締めてるみたいでドキドキした。
ああ、現実だったら良いのに。
『また勉強?』
背後より聞こえた声に驚いた。その拍子で写真ははらりと床へ落ちる。
_____見られたらマズイ。
手を伸ばすと、重心は前へ移動し無様に椅子から自分も落ちた。
大丈夫?と頭上からまたAさんの声が聞こえる。
差し伸ばされた手を取り、立ち上がると写真以上の素敵な笑顔。
『それ、誰の写真?とても大切そう』
写真を差されとっさに後ろに隠す。目が合わせられない僕は不審だ。
「ええ、想い人、とでもいいましょうか」
『好きな人!それはとても大切だね、傷付いたら大変...』
流石は女の子。恋愛のことになると気分が上がっている。
頬を薄く染めて、あ、また笑った!
思わず自分の拍動を確かめれば、恐ろしく早かった。
『誰なんですか!教えてください!誰にも言いませんから!』
手を合わせてこの通り、と懇願される。
貴方だ、って言ったらどんな表情をするだろう。
喜ぶか、しかし自分の写真が持ち歩かれてるって聞いて気分を害するかな。
「知るべきではありませんよ、恥ずかしいです。」
『えええ..うーん残念だな』
悲しげな表情。ああ、なぜ今カメラがない!
今すぐ触れたい。そんな気持ちで手が震えている。
兄さんの回復柱使っているところで嫉妬した。
同行回数が一緒にいた時間って勝手に思って嫉妬した。
女性の部位について話していたところ、妙に距離が近いところで嫉妬した。
知らなくていい。 【テルオミ】2→←人外×少女 【ジュリウス】<共作>
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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時