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雨宿りbe our guest 2 ページ33

私を指していたが途中ハッと真顔になり、台所へやって来た。
私の手元をゆっくりと覗く。
新しく鮭を一切れ出し、クッキングペーパーで水気を取っていた時だった。

「まさか、俺の…?」
『魚、苦手だったりする……?』

不安になって見上げると、女のように口を手で隠し、私の服を摘まんで何か呟いた。
聞き返すが赤い顔のまま答えてくれない。
妙な距離感に居たたまれなくなり、座椅子に座らせた。
料理が完成するまでの約15分、カップを持ったまま瞬きしたり、ひたすら此方を見たり、挙動不審だった。


『出来た!まだ雨強いし、一緒に食べようよ。』

コウタの前に、ご飯、味噌汁、鮭のムニエルを出す。
彼はしばらく見つめた後、妙に目を輝かせ、満面の笑みでいただきます、と手を合わせた。
そこからは本当早かった。

「うんま!!Aって前から料理してた?」
『ううん、大学から。意外とやってみたら皆出来るんだよ?』
「そんなもんかー?」
『嘘つかんよ。』

『コウタがタオル被ると髪の色もあって白と橙のドロイドみたいだね。』
「"ウィー!パッピーポボパ?"」
『"どういたしまして",ふふっ』

お互いが食べ終わる頃、雨は止んでいたが真っ暗だった。
お隣さんに迷惑が掛からない程度にゲームやトランプしたり、愚痴を吐いたり、
思いの外忙しくて話せなかった分を埋めるように、埋めすぎて山になるくらい話こんだ。

「そうだ、食器洗うよ。」
『え、悪いって。』

慣れた手つきで食器が片付いていく。
悪い、と言いつつも傍で見るしか出来なかった。
水を少しずつ使うところが大学生の財布事情をよく分かってる証拠だと思う。

『乾燥機に入れてた服、乾いたみたい。あともしものために、この青い傘貸すよ。』
「何から何まで悪いね、サンキュ。」

着替え終わったのを確認すると、玄関まで見送る。
靴紐を結んでいる所でコウタは此方を振り向き、口を開く。

が、何かすまなさそうに笑い、視線を戻した。下を向いたまま言った。



「A、いいお嫁さんになれるね。」

視線は靴のまま立ち上がる。ため息に似た笑い声が聞こえた。


「じゃ!また明日な!」


振り向いて手を振るコウタの目は、少し潤んでいた。

Cabbage cradle 【ロミオ】(実話ネタです。)→←雨宿りbe our guest  【コウタ】



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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