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また消えた 【ジュリウス】 ページ20

また一人消えた。村は最近その話題で持ちきりである。
よって、朝から晩まで失踪した子供捜しだ。

「昨晩は、一緒に手を、繋いで、寝ていたのぉ!!」

今回失踪した子の母親が泣いて警察に話す。
山の中まで入った大人たちは協力して子供たちを探すが、
足跡、失せ物、証拠のようなものすら見当たらず、日に日に精神を削っていった。

これまでの子供たちから分析すると、十歳から十二歳までの男女は問わない子供。
始めは小児愛者による誘拐かと思われた。しかし、考えにくいと長老様がおっしゃった。
私はその長老様の言葉を疑った。


「祟りかも知れん。拐っているのが神様ならば、な。」

曲がった腰のまま、視線を空へ向ける。つられて見れば、鳥が二羽飛んでいる夕焼け。
足取り重く、家へ帰った。


さて、床についてもなかなか眠れない。寝返りをうつと、布団からはみ出て、後頭部を打った。
そして、気付いた。
隣の家に、ちょうど十歳の女の子がいる。もしかして、と思い、飛び起きて外へ出た。


虫の声が響く静かな夜。電球のない村に住んでいれば、真っ暗でも目は慣れていた。



視界の端で何かが動いた。咄嗟に近くにあった、棒状の物を掴む。
これは、きっとほうき。
柄を先にして、ゆっくり進む。息を殺して足音を発てぬように。

後退して戻ろう、なんて自分もいた。
しかし、外に出て、武器も持ったなら後退しにくい。そもそも後退する気は微塵もなかった。

物陰まで走り、動く影を凝視する。間違いはない。玄関の前に立っていた。
身長はおそらく百八十は超えている。村の者ではない。
ならば長老様のおっしゃった通り、祟りだろうか。
騒ぐ心臓を無視して、走り、ほうきを振りかざして、脳天へ目掛けた。



「君」


肩に手が置かれる。まさか、と思い、振り向いて、再び振りかざすと、

「もしかして」

月光の逆光で顔が分からない。私が月光を浴びて、目を細める。
持っていた箒は音をたてて壊れた。細めた目は同時に見開かれた。
パラパラと、細かく散る竹箒。そして私を見下す黒い影。

また消えた 【ジュリウス】2→←バレンタインの勇気《2》



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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