ステーキ1g ページ2
カラッとした良い天気の日、町は賑わい心無しか僕の気分も高揚していた
『今日も暑いね〜、ホテルから早く出過ぎたのを後悔したなァ……』
僕が過去(2時間前ほど)の失敗に後悔しているのはお構い無しのようで、太陽は未だに僕をガンガンと照りつけている。
『……ちょっと休憩しようかな。朝食も済ませていないしね…。この通り店も多いしガッツリ食べれるようなお店があれば良いんだけど…』
キョロキョロと周りを見回すとなんだか良い感じの定食屋さんが視界に飛び込んできた。
これは行くしかない、その決意を固めて足を店の方へ向けて歩いた。
ドアを開けるとそこそこ人はいるようで、店の奥に進むと店員の方に声をかけられた。
「いらっしゃい。お客さん、メニューが決まったら言ってくれ？」
『メニュー…今店員さんが焼いてるの美味しそうだね…うん、僕その【ステーキ定食】がいいや』
そう言うと店員のおじさんの雰囲気が変わった気がした
「…兄ちゃん焼き方は？」
『(焼き方…？)弱火で…じっくり……？』
料理って大概のものは、弱火でじっくり時間をかけてやるのが良いんじゃないのかい？
あ、これってミディアム、レア、ウェルダンとかってやつか……？えっ、勘違いした僕恥ずかしくない？
「兄ちゃん、奥へ行きな」
『え、あぁ、うん』
奥へお通しされてしまった僕は、明らかにエレベーターの様なものに入らされた。
ステーキはきちんと出たが、扉は閉まり、椅子越しからエレベーターが動いている事を感じさせられる
それにしても
『僕ってそんなに男寄りかなァ…ま、別に良いんだけどね』
さっきの店員さんに2回ほど「兄ちゃん」と呼ばれていた事をぼくは思い出して呟いた
……エレベーター長くない？
少し、エレベーター内に1人でステーキ定食を食べる虚しさに限界を感じ始めてきているのであった
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