弱った左馬刻様の安定剤 (ページ42)

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過去(左馬刻side③) ページ42

左馬刻side

姐さんの言葉が、胸に広がるのがわかった。

意識して聞いていた訳じゃないが、

気づけば、イライラは収まり、

肩の力も抜け切っていた。

そっと体を離される。

左馬刻「…………他の奴にも、

同じことやってんのか？」

A『……どうだろ。

どうして？』

左馬刻「姐さんが他の奴にも

声掛けてんのは見てた。

けど、全員を見て、いちいち相手してたら

姐さんが疲れんだろ。」

A『そんなことないよ。

私がしたくてしてる事だから

疲れるとかはないかな。

それに、皆にって訳でもないよ。

たまに見かけた時に気になって

声をかけてるだけだよ。』

左馬刻「…………んじゃ、

俺もそのうちの一人だろ？

だったら、もう声掛けんな。

俺は誰にも頼んねぇって決めてんだ。

俺はもっと強くなって

自分の力だけで生きて行く。」

A『……やっぱり、凄いね。

左馬刻は強いね。

いつも頑張ってて、偉いね。

だったらさ、私のために、

たまにでいいから、一緒にいてくれない？』

左馬刻「…………どういうことだよ？」

A『……たまに、一人でいるの

嫌になる時があるの。

だから、そういう時にただ近くにいて欲しい。

何もしなくていい。

近くにいてくれれば、自由にしてていい。

…………ダメかな？』

左馬刻「……親父にバレたら

俺の立場はどうなる。」

A『大丈夫。

何かあっても、ちゃんとフォローするけど、

お父さんは私の事に

あまり口出しして来ないから。』

左馬刻「……そうかよ。」

A『…………いいかな？』

左馬刻「……分かったよ。」

そう言って姐さんの提案を了承した。

それからは、度々話しかけられたが

軽く話をして別れることが続いた。

姐さんが俺を部屋に連れて行き、

何も言わずに抱きついてくるようになって、

しばらくして、俺は気づいた。

姐さんが俺を呼びつけるのは、

いつも俺がイライラして

どうしようもない時だった。

左馬刻「なぁ、姐さんはなんで

こういう時ばっか俺を呼びつけんだよ。

初めから、そのつもりで言ったのか？

一人になんのが嫌っつったのはただの口実か？

俺の為とか思ってんなら、今すぐ出ていく。」

A『それは違う。

たまたま、タイミングが

重なっただけじゃないかな。

それとも、私が呼ぶ時以外は

イライラしてなかったの？』