Euphoria【Raul】 (ページ8)

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Grateful days 8 ページ8

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「深澤せんせーい！」

新人ナースにニコニコお手振りしてますけど。

ごほん、とわざとらしく咳をした師長に慌てるでもなく、にっこりと笑いかける。なんて男だ。

「経過はいいね。親御さん時間取れそう？」

突き出された電子カルテを覗き込み、大きくうなずく。

「来ていただくようご連絡しますね」

「はーい、よろしくね〜」

師長にもひらひらと手を振ると、すっと寄ってくる。

「Aさん」

さりげなく、わたしの肘を掴んだ。ほんの一瞬。誰も気づかない。

それは、彼の合図。

「じゃ、あとで」

眼鏡の奥で細い目が光る。曖昧に頭を下げておいた。

今夜は鍵を開けておかなくては。

「深澤先生ってぇ、優しいし、カッコいいし、おもしろいし、子どもにも大人気だしぃ！すっごい優良物件ですよねぇ！あーん、なんで結婚してるんだろ！！」

「優良物件だからでしょ。めちゃめちゃ子煩悩よ？この間保育園の運動会の写真、見せられなかった？」

へぇ、そうですか。

「慰めるのも上手ですよねぇ。入院してる子のお母さんたち、次々に深澤先生にオチてますからね」

患者の家族にだけは手ださないでね。

「不倫とか・・・いや、しないかー！奥さんめっちゃ美人ですもんねぇ〜しかも院長の姪って、ドラマかよ！って感じ」

ホントね。