Euphoria【Raul】 (ページ4)

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Grateful days 4 ページ4

ベッドへとかがみ込んでいた子が慌てて戻ってきた。

「入って？」

手首を緩く握られて、中へと誘われる。

そばに立つと、そのひとはもうだめなんだとわかってしまった。

土気色の顔、落ち窪んだ目。きっと、もう何日ももたない。

「A・・・来たの・・・」

弱々しい声が、カサついた唇から発せられた。

「ラウール、あなたの、お姉ちゃんよ」

ふぅと長く息を吐いて、目を閉じてしまった。

ラウール、というのはこの子のことか。わたしの弟？

「パパ？ねぇ、どういうこと？」

この外国人の男性がこの子のお父さん。お母さんと再婚したのか。いつ？

「ママが前に結婚していたときの子ども」

あまり日本語は得意ではなさそうだ。カタコトでそう言うと、悲しそうに微笑んだ。

ラウール、と呼ばれた子はパニックになってキョロキョロしている。

少し高いところにある背中にそっと手のひらを添えたら、ビクッと震えて泣きそうな目でこちらを見た。

なんて言えばいいのか・・・わたしも混乱してる。

じっとその瞳を見つめた。わたしの、弟か・・・

お母さんが亡くなれば、わたしの肉親はこの子だけになるんだ。

「A、さん・・・？」

「そう。AAです。母とはずいぶん久しぶりに会ったの。弟がいるなんて初めて知った」