しあわせのおと【Daisuke.S】 (ページ35)

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PEACE!! ３５ページ35

月曜日の朝、いったん佐久間さんは自宅に帰って別々に出社した。

丸一日半酷使したカラダは正直バッキバキだけど、仕事を休む訳にはいかない。

「あ・・・Aちゃん、おはよー」

「阿部さん。週末はありがとうございました」

「どういたしまして。うまくいってよかった」

エレベーター前で鉢合わせた阿部さんは、目の下にクマを作って疲れた顔をしている。私同様、腰を庇うような歩き方をしているのは、気のせいじゃないと思う・・・

阿部さんも、コチラの状況を察してくれたみたいだ。

「体力バカに付き合うのも大変だね・・・」

「ハイ・・・」

阿部さんとはいいお友だちになれそうです。

＊

それから付き合いたてのラブラブ期を調子に乗って過ごしていた私たちは、どうにも浮かれ過ぎたみたいだ。

桜の蕾が次々と花開く頃、２本の線がくっきりと出た検査薬を見せたら、大介くんは文字通り飛び上がって、きれいな涙を流した。

「今すぐ結婚しよう！オレ紙もらってくるから！！」

「待て！まだやることがあるでしょうが！」

それからは怒涛の日々。

結婚式は絶対にやる！と息巻いていた大介くん。式場探しからプランの相談から、全部やると言い切って、つわりで死んでいた私の代わりに、優秀な広報部員と営業部員が彼をサポートしてくれた。

私自身は結婚式に特に憧れも思い入れもなかったから、彼らの熱量に圧倒されつつ、全部お任せ。

唯一ドレスだけは、大介くんが当日の楽しみにしたい、というので、予約してくれたウェディングドレスのお店で決めたくらい。

大介くんと一緒に迎えた2回目のお誕生日。

彼が３０歳になるその日、私たちは結婚式を挙げた。