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旅行も最終日となった。河村さんの呟きを見たけれど、基本的にはあまり呟かない人なので何にも更新はされていなかった。なので昨日のことは分からずじまい。


『そういえば』


 河村さんっていつ帰るのかな。全く聞いていなかった。向こうも私が今日帰るということは知らないと思うけど。河村さんも、今日で帰る予定だったら良いのにな…。


 一緒に帰ることは出来なくてもせめて駅まで送ってほしい!とポジティブに思った私は、一か八か懸けて今日行く場所の呟きをしようと考えた。他の人にはただの独り言だと思われるような呟きをして、気づいてもらえたら会えるはず。そんな一縷の望みをかけて呟いた。



.



 そろそろ電車に乗る時間を考えたら駅へと向かわねばならない時間となってしまった。結局、河村さんからの反応は来ず。よって、私の一縷の望みも絶たれた。当然この場には河村さんはいない。

 まあ、そうだよね。反応が来なかったことを考えるとまずスマホを触っていないと考えた方が容易かもしれない。まあ仕方ないな。伊沢さん達にあげるお土産も買ったし、残すは帰るのみ。ありがとう栃木。楽しかったよ栃木。マフラーを鼻まで覆い、キャリーバッグを転がし始めた。


「やっぱりここにいた」

『河村さん…』


同じくマフラーで顔を鼻まで覆っている河村さんが立っていた。


『どうして、』

「いつもなら特定されることを恐れてリアルタイムの呟きはしないのに今日は一段としていたから。もしかしたら僕に会いたいのかなって思って」


いつものトーンで話しながら私の元へと来る河村さん。驚きと嬉しさでまるで雪が積もったように動けないでいる私の頭にぽん、と手が乗っけられた。


『反応がなかったので、見てないと思ってました』

「だって反応しちゃったらこの驚いて固まっているAを見ることが出来ないでしょ」


うわ、やられた…。確かに既読というものが付く機能なんてないし、反応がないからといって見ていないとは限らないことを忘れていた。


「今から帰るの?」

『30分後の電車で帰ります』

「偶然だね。僕もその電車で帰るつもりだったよ」

『えっ』


じゃ、じゃあ帰りも一緒に…?


「今から荷物取ってくるから家の前で待っててね」

『は、はい!』


私が元気よく返事をすると笑いながら駅に行く道から逸れた。

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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年2月20日 17時

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