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「ふーん。でも誰でもいいわけじゃないんでしょ?」
『まぁ…出来ることなら好きな人と恋人になりたいですけど…』
それをずっと言い続けたせいでここまで彼氏が出来てないのは分かってはいるけども。私を貰ってくれる人がいないのだから仕方ない。
『本当にここまで掘り下げられるなんて思ってなかったんで…』
改めて自分は何も考えずに発言していたことに気づいた。恥ずかしい。馬鹿すぎでしょ自分。下を向いて歩き続けた。
「じゃあさ、彼氏になってあげようか?」
『え?』
思わず歩いていた足を止めた。いや、止めざるを得なかった。なぜなら、河村さんが私の手を掴んでいたから。
『河村、さん』
掴まれていた部分が熱を帯びて熱くなる。暦の上では春かもしれないが未だ夜は冬のように寒いはずなのに、体が暑い。ジッと私を見つめる視線に思わずドキッときた。
『…私でいいんですか?』
やっと出た声は口がカラカラに渇いていて変だったくせして震えていた。もっと可愛げのある声が出せないものなのか、自分。と思い悩む。
「Aさんがいい」
しかしそんな私の思いはあっという間に吹き飛ばされ、ふわりと河村さんは笑ってそう言ってくれた。
.
.
「そういえば、地球滅亡しなかったね」
『う…そんな面と向かって間に受けていた私をバカにしないでくださいよ』
あれから気づけば1週間ほど経った。もう日付が変わったその時から思っていたけど、何も言わずに河村さんは私のことを彼女とオフィスの皆に紹介してくれてたから嬉しかったのに、こうやって忘れた頃にいじり倒してくるからやっぱり河村さんは好きじゃない。
「今だから言えるけど、」
そう言って私の顔を見た河村さん。待って、嫌な予感しかしない。だってこの前置き絶対にそうじゃん。ああもう、何を言われるんだろうか。意を決して目をつぶった。
「本当はもっと前から好きだったんだよね」
『へ?』
思わず素っ頓狂な声が出てしまう。目を反射的に開けると、至って真面目な顔で河村さんは私のことを見つめていた。
「どさくさに紛れて告白したけど、俺はこれからもAを離す気ないから」
そ、そんなの、反則じゃん…。私だって―――――
『私も、離れる気なんて、ありません。だって、河村さんのこと、好きですから』
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時