... ページ33
カラス…？もしかして…!
「そ、そのカラスって…？」
俺の声は震えていた。なんだか嫌な予感がした。
「即死だったみたい。1番衝撃を受けてたのはそのカラスだったらしいから」
頭の傷が疼いた気がした。そんな…。
「A…！」
俺はそのあと、1人になった病室で泣いた。全部ただの夢だったらよかったのに、夢じゃなかったことが分かってしまって、涙が止まらなかった。
.
.
あれから1ヶ月後、頭の傷も骨折も治り完全復活を遂げた。ニュースに報道されたりしてそれはそれは大変だったが、ちゃんとリハビリもして、復活をテレビを通して伝えることが出来た。
そして今日は、1ヵ月半ぶりの東大王の収録。ヒロミさんをはじめとした出演者だけでなくスタッフの皆さんにも激励の言葉をかけていただいて、とても嬉しかった。
それでもやっぱり、Aのことは忘れられなかった。目を覚まして以来、Aは勿論死神さんにも会うことはなく、本当に俺は夢を見ていたのではないかとすら思った。
だが、たった3日間のこととはいえ、Aのことをただの夢として終わらせることは俺にはできなかった。
いつか会えることを信じて、俺はこれからも生きて行こうと決めた。
「これでもこの1ヶ月で色々あったんだよ？新しいスタッフも増えたりしてさ」
「そうなんですね。いやぁ、少しブランクがあるんで今日は本領発揮が出来るかどうかは分かりませんが、精一杯やらせて頂きますのでこれからもよろしくお願いします！」
頭を下げると、拍手の嵐に包まれた。やっぱり俺は、テレビが好きだしクイズが好きだ。
.
約2時間の収録を終え、楽屋へと戻ろうとすると、あるスタッフさんに声をかけられた。
「伊沢さん！コイツ、数日前に新しく入ったカメアシのAです」
『AAです、よろしくお願いします』
「え…」
新たに入ったというスタッフは、紛れもなく俺が合いたくてたまらなかったAだった。
「伊沢拓司です。こちらこそよろしくお願いします」
二人目を合わせて笑った。
こんな再会も、悪くはないだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜！これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです！ (2020年2月22日 16時) (
レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます！楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月20日 17時
