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「Aさん、今は料理人じゃないんでしょ?」


あれれー?どうしてバレてるんでしょうか?


「車に気づかないぐらい憔悴しきってた感じからすると、首が切られてほやほやってところかな?」

『へ…』

「はったりを言ってるわけじゃなさそうだったし、本当に美味かったから料理人なのは嘘じゃないと思ったけど、さっきの逃げようを見て確信したね」


頭のいい人に隠そうとしたのが間違えだったみたいですね。言動と表情で全てお見通しなあたり、さすがとしか言えない。頭がいい人たちって、誰でもメンタリズムが使えるんですね。身をもって学びました。ええ。


「すごい美味かったからこれからも作ってほしいんだよね。ここ、大体男ばっかだから自炊とかしなくて。皆外食ばっかで最近健康に悪いなーって話になってたんだよね」

『さ、左様でございますか…』

「まぁ、もう次の職場が決まってるならアレだけど、見たところ決まってなさそうだし」

『う゛…』


本当にぐうの音すら出ない。どこまでバレているんだ…


「ね、いいでしょ?社長の許可はもらったし」


あのグーサインでOKなんすか!?ゆるいっすね!?でも、このゆるさが楽しそうだとはこの短時間で思った。そして、美味しいと言ってもらえるのがこんなにも嬉しいことに改めて気づいたんだ。


『…私で良ければ、よろしくお願いします』

「ふふ、良かった」


私に断る選択肢などなかった。そして福良さんも、そのことをわかっていたのでろう、何も驚かずただ満面の笑みで私と手を繋いだ。


「じゃあ今日は送るよ。Aさん危なっかしくて心配だし」

『ひ、ひどい…』

「あ、連絡先交換しよっか。したがってたもんね?」

『ち、違いますよ!決してそんなんじゃ!』


あはは、と笑いながらスマホを出す福良さん。何だか、もうこのやり取りがテンプレ化しそうで怖い。だって絶対福良さん私をいじるの楽しそうだもん。


「また詳しいことは連絡するから待っててね」

『あ、はい』


あっという間に私の家へ着き、福良さんは家の前まで送ってくれた。


「他からスカウトされてもちゃんと断るんだよ?」

『来ませんし来ても断るので大丈夫です!』

「それなら安心したよ。まぁ、たとえ誘惑に負けても俺がAさんのこと連れ戻すから安心して」

『!?』

「じゃあおやすみなさい、Aさん」


福良さんという男は、とんでもない罠師であることに気づいた瞬間であった。これから私、心臓が持たないと思います…。

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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年2月20日 17時

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