食 fkr ページ1
「もうー、ちゃんとしたご飯食べなって言ってるでしょ」
『あ』
そう言って作業しながら口にくわえていた物を奪われた。
『いつの間に来てたの』
「インターホン鳴らしても反応なかったから鍵開けた」
『あー』
全く気付かなかった。それほど集中していたということだろう。時計を見ると最後に見た時から軽く3時間は経っていた。どうりでゴミ箱を見ると同じ物が3つも捨てられているわけだ。
「なんでもう空のやつずっと銜えてんの」
『集中できるから』
「一週間禁止ね」
『ええ』
私が散らかした書類やら何やらを片付けながら説教をしてくる福良さん。ママじゃん。
ていうか、私から流動食を取ってしまったらそれはもう私ではないぞ。集中力も作業能力も低下してしまって負のループに入ってしまうぞ。
「もう定期便頼まないって言ったじゃん」
『割引セールをやっていたのでつい』
「つい。じゃないよ」
全くもう…と呆れられる。この展開数えているだけでも5回はしている。其方が懲りないのなら此方も懲りないぞ。
「今日は俺と一緒に晩飯ね」
『福良さんが野菜を食べるって言うなら良いよ』
「分かったよ」
『よし』
じゃああともう少しで終わるから。頼まれてたのはコレね。と言い作業を再開させた。
説明が遅れたが、私はフリーランスのエンジニアで、福良さんは時々こうして私の家にやってくる。ちゃんとした案件だったりただの相談だったりそれは色々と。
きっかけは私が福良さんの目の前で倒れたから。というのも、依頼が立て込んできて忙しい日々に疲れた私は遂に食べることが億劫になり、そんな時に流動食という時短になる物を知った。
これなら納期に間に合いそうだ!となり、睡眠を返上して依頼をこなした。
そして無事に依頼を完了させた日、久しぶりに外へ出たらそのままぶっ倒れてしまった。
「あ、大丈夫?急に倒れたからビックリしたよ」
倒れた原因は睡眠不足と栄養失調。流動食では栄養が足りなかったようだ。それを付き添いとして聞いてくれていた福良さんが怒り、初対面で説教をされた。
「倒れたら元も子もないんだよ!偶々俺がいたから良かったけどさ!これからは体調管理をしっかりすること!」
『は、はい…』
この時はただの助けてくれた人、というだけだったのだが、この後再び会ったのだ。
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時