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着替えも終わり、あと少ししたら収録が始まるという場面で一人楽屋で待機していた。
「すみませーん、最終確認にまいりましたー」
「はーい」
コンコン、とノックされてADさんらしき人の高めの声が聞こえてきた。返事をするとドアが開く。
「え、なんで」
「大馬鹿者。大事な仲間を心配させるんじゃない」
「あ。」
そう言われて思い出す。後で連絡をしようと思ってはいたけれど色々と話し込んだりしていたこともあり、すっかり忘れてしまっていた。
「ご、ごめん…」
「謝罪は本人によろしく。はい」
そう言って百合根さんから渡されたスマホ。“河村青年と通話中”と表示されていた。
「ほんっとにごめん河村さん」
『無事ならそれで良かったけど、本当に心臓に悪いからやめて』
「はい…」
「今度お詫びに叙々苑奢ってくれるってさ」
『やったー』
「そんなこと言ってないけど…まあ良いですよ…」
そんなこんなで電話は終わり、本当に申し訳なくなった俺は、頭をガシガシと掻いた。せっかくセットしてもらった髪だけど。これは猛反省が必要だ。これから収録とか一旦置いておいて反省するしかない。
「マジでやらかしたな……」
「だろうとは思ったがね。もうこんなことすんなよ〜」
「肝に銘じます…でもどうやってここに来たの?」
「そりゃあお得意の演技で」
「不法侵入かよ」
「違うわちゃんと許可もらってるわ」
なんて言い合いをしていたら気持ちも絆された。百合根さんに助けられっぱなしだな、俺。
「大丈夫。何も気にしないでベストを尽くしてくればいいの。それが大黒柱の使命だ」
「…おう」
自分でぐしゃぐしゃにしてしまった髪を戻すように手が伸びてきた。優しく手櫛で梳かされる感じが頭を撫でられているかのようで、変な気持ちになる。
そして本当の本当に「スタンバイお願いします!」という元気な声が聞こえて立ち上がる。
「じゃ、帰りは私と一緒にね」
「ん、分かった」
頑張れよ、と一言も言われていないのに今日の収録はなんだか上手く行きそうだと感じていた。
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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです!いくらでも待つので、続きを期待してもいいですか? (3月15日 16時) (レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、!かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します!作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました!もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!返信遅くなってしまってすみません!相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー!!! (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2021年11月18日 15時