咲き誇る瞬間本当は-wtnb ページ23
───私、夜が好き。
朝は明るすぎて私にはとても眩しかった。
いつもぐっすり寝ている時に目覚まし時計が鳴って現実に戻され、母親に布団を剥がされ仕方なく目を開けると毎回朝なのがとても嫌で。
早起きは三文の徳とは言うけれど、朝に流れているテレビはもっぱら真面目なニュース番組ばかりで今にも眠たくなりそうだったし、とにかく朝よりも夜の方が好きだった。
だって夜は真っ暗で、眩しくもないからしっかりと目を開けていられるし、夜のテレビはドラマや面白いバラエティ番組で楽しく笑えるし、暗闇の中に光るものがあっても眩しく感じないしむしろ美しく感じて、夜はなんて綺麗なんだろうと見惚れてしまう。
『A、今暇?』
歳も重ねれば規則正しい生活なんてほとんどしなくなって、毎日毎日夜更かしをする日々。
皆が活発的になるのってやっぱり夜だと思う。
例によって例の如し、夜になるとスマホも震え、耳に当てると聞こえてきた第一声。
「暇に決まってるから航平の電話に出てるんじゃん」
『だよね、いや一応聞いといた方が良いかなって思ってさ』
もしもし、から始まらないのはいつものこと。笑い声と共に聞こえるエンジン音にももう驚かなくなった。
暦では春だが未だに炬燵でぬくぬくしていた私もよいしょ、と立ち上がり上着を羽織る。多分向こうも気づいているだろう。
『今から出てこれたりする?』
「もう靴履いた」
『はっや』
「あと何分?」
『んー、5分ぐらい』
「はっや」
お互い準備が良すぎて笑ってしまった。私は私で航平のことを理解しているし、航平も航平で私のことを理解していたのだ。
日付も変わって20分ほど経つ頃に鳴る着信。航平からの電話に出るということは今日の夜を彼に預けるということ。だから応答ボタンを押した瞬間から私は出かける準備を始めていた。
この時間に電話をかけるのは航平が寝れないから。コール音が鳴り出した時にはもう車に乗っている。たとえ私が電話に出れなくてもそれならそれで航平は一人でドライブに行くんだ。助手席に私がいるかいないかの違い。
『寒いだろうからそのまま玄関で待ってて』
「はーい」
『ちゃんと厚着して来てね。風邪引かないように』
「分かってるって」
分かっていながらもちゃんと全て言葉にしてくれる。そんな優しさに私は惹かれた。そういう所が大好きで眠たくて瞼が重たい日でも靴を履く。
「今日は連れて行きたいところがあるんだよね」
航平の手を取って一歩踏み出す瞬間が私の夜の記憶。
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豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» いえいえ、気にしないでください^ ^その時はコさん推しだったんだと思います。今また箱推しに戻っていまして…笑 コさんとは出身が同じなんですよ!それ見て嬉しくなってるんです!これからも頑張ってください! (2021年5月17日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - お返事遅くなってすみません!涙 マシュマロもありがとうございます!コさん推しなんですね!一緒で嬉しいです!!笑 これからもよろしくお願いします! (2021年5月16日 17時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» これからも見ますよ!ちなみに、28日についったの方で匿名で送らせて頂きました!でもついったログインできないので見れないのですが…。ちゃるちゃるさんに届けば!と思い、送らせて頂きました! (2021年4月30日 22時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - ありがとうございます!素敵なお言葉で励みになります、、、マイペース更新ですがどうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年4月29日 0時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - コメント失礼します。ちゃるちゃるさんの作品を一気読みさせていただきました!この作品シリーズ、めちゃくちゃ好きです!更新待ってます! (2021年4月28日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月8日 17時