行為で好意に気づけ【Q|K】

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あの日以来、全く話すことも会うこともなく受験期となり、そのまま卒業をした。
好きという気持ちに蓋をして、最早怒りの感情まで湧いていたので会いたくなかったし、嫌いになったが一応彼の将来は応援していたから、邪魔にならないようにと避けていたらそのまま高校生が終わってしまった。

伊沢くんはクイズで名を轟かせ、第1志望の東大へと見事合格したと聞いた。

対照的に私は普通にそこそこ名前が知られているであろう、それぐらいの大学へと進学した。
別にどこの大学であろうが行ければそれで良かった。私の目指す場所は大学名ではなく、大学生活にあった。

そう、華々しい大学デビューをすること。

こっぴどく振られた私はその悔しさをバネにして、いつか彼を見返してやろうと燃えた。どうしてあの時振ったんだろうと思わせて、もう一度やり直させてくれと言ってきた所で今度は私が振ってやる。このシナリオを夢見て生きてきたと言っても過言ではない。

「ああああのっ！良かったら僕と付き合ってください！」
「あ…ごめんなさい。今は勉強に力を入れたくて」

なんて言って断るのがお決まりになるぐらいには垢抜けたと思う。眼鏡で真面目ちゃんだった私を知っている人からしたらビックリでしょう。これでも私、頑張ったんだよ。

だが、そんな夢も虚しく、伊沢くんはどんどんスターへの道を歩んでいっていた。







「あー同窓会？」

大学もあっという間に卒業し、アラサーOLの仲間入りを果たしてしまった現在。
高校時代の唯一と言える友人と飲みながら先日届いた同窓会の話になった。

「で、来るの？」
「行く気“は”満々」
「なるほどね」

この垢抜けた姿を見せびらかしたいのだが、丁度仕事が立て込んでいて今日の飲みだって2ヶ月ずらしてやっと実現したほどに今忙しい。

「まぁどうせ来なさそうじゃん？」
「あー伊沢ね。来ないでしょうね」
「だったら意味ないよね〜って感じ」

ははっと笑うこの友人は唯一私の告白の一連を知っている。黒歴史と今となっては自虐ネタだが、私はまだ引きずっている。絶対に復讐してやるってね。

「ま、仕事終わったら即連絡して。もし終わってたらその時は私が色々やっとくわ」
「よろしく頼んだ！」

持つべきものは頼りになる友人1人だけでいい。他はいらないと思うぐらいに毎日が充実していた。ほんと、なんであの時は好きになってたんだろうね。恋なんて面倒くさいだけなのに。

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