検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:65,374 hit

2つのアーチ-sgi ページ16

風が冷たい11月。撮影に必要な道具を買って外に出ると太陽は眩しいくせに肌寒かった。

「さむっ」
「寒いですねえ」
「なのに太陽がむっちゃ眩しいとかなんなん?」
「はは、私と全く同じこと思ってる」
「まじ?気が合うな?」

一緒に買い出しにやってきた須貝さんが外に出るなり怪訝そうな顔をして言った。でも今面白くって笑えたから少し温まったかも。



「なんかお腹空かない?」
「あー、確かに」


須貝さんは歩きながらパーカーのポケットに手を入れて呟いた。ふと自分の左手首を見ると11:46の文字。ちょうどお昼時だ。


「マック行きます?」


そういやすぐ近くにあったなと思い須貝さんに問いかけると スマホを出しながらいいね、と返してくれた。

「じゃ、マック行きましょ」
「行こうぜ行こうぜ。マクド久しぶりかも」
「へえ!そうだったんですか。てかマクドって言うんですね」
「あぁ…気にしたことなかったわ」

私は関東生まれ関東育ちだから方言という方言はない。須貝さんは関西出身だから、やはりちょっと違うんだなあと思った。

「それがどうした?」
「いえ、別に」

あらそう、と言ってまたポケットハンドする須貝さん。かなりの寒がりっぽい。
私はただ単に方言がいいなと思っただけ。よく言うじゃない、憧れるってやつ。

「こっち来てからマクドってみんな言わないからビックリした」
「えぇー!普通マックでしょ」

違和感ある、いやこっちの方がある、なんてちょっとした言い合いになりながら歩いているとあっという間に着いた。

「…じゃ、間をとってMcdonald'sで。」
「いや発音が良い!」

思わずキレのいいツッコミをすると、嬉しかったのかガハハと笑ってくれる須貝さん。それにつられて私も笑う。

「おっと、」
「わ、」

そういや店の入口で立ち止まっていたのを忘れていた。後ろからやってきた人に気づかずに笑っていたから咄嗟に須貝さんが腕を引いてくれた。

「じゃ、入ろっか」
「は、はい……」

さっきまでポケットに手を入れてたくせにスマートに腕を引いてくれる須貝さんにドキッとしてしまったなんて言えない。何事も無かったかのように笑顔で店内に入っていく彼にただついてくことしかできなかった。




「ナイスガイのスマイルどう?」
「わー、タダでもらえるなんてうれしいですねー」
「棒読みやめん?」

言い合いはモーニングの前に-kwmr→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
200人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ! (2020年12月30日 22時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね!知らなかったです。教えて下さりありがとうございます! (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します!みかんの白い筋は、アルベドって言うんですよ!ラテン語で“白さ”という意味です!このコメントはスルーしていただいても構いません。お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年11月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。