Short Story × Songs 【QK】

ブギ　k-chan ページ33

「大きくなったら結婚しようね」

『うん！』



私はこの約束を果たすために、群馬から上京してきた。
私と彼は1歳差で、私が常に彼を追いかけているという図だった。
しかも、私は全然頭もよくないから、大学を卒業するまで東京に行かせてくれなかった。
まぁ、何としてでも早くに東京に行きたかったからという理由で短大にしたのけれど。
それぐらい私は本気で彼のことが好きだということなのである。
しかし…


『東京広すぎてどこにいるか分かんない！』


どうせ会うなら驚いた顔が見たいと思って、連絡をしないで東京に来たため、23区のどこにいるのかすら見当もつかない現状に項垂れている。
こんなことになるならちゃんと連絡しとけばよかった…
一応毎年帰省してくれてたので、連絡は取りあっていた。
私がほぼ一方的に絡んでいるばかりだったけど。
だってそうでもしないと疎遠になりそうだったんだもの！

とりあえず、人の多さにやられてしまい、目の前にあったオシャレなカフェに入って一時避難。
スマホを開いて、“こうちゃん”の文字をタップする。

『…おっ』

今東京にいるよ、とメッセージを送ると即電話がかかってきてビックリしながらもちょっと嬉しくてニヤけながら電話に出る。

『もしもし？』

「もしもし？今どこ？」

『え？あー、』

フランス語らしきカフェの名前を言うと、そこにいろよ、とだけ言われて電話が切れた。
あれ？なんか機嫌悪くない？？
まぁいっか。なんて思っているとこうちゃんがやってきた。



『こうちゃん久しぶりー！元気にしてた？』

「久しぶりー！じゃないよ全く。何で連絡しないで来ちゃうわけ？俺オフィス抜けて来たんだからね？」

『驚かせたかっただけなのー。そんな怒んないでよ。てか、オフィスって何？私も行っていい？』

「ダメ。ていうかその大荷物なんなの？何しに東京まで来たの？」

何か取り調べみたいで怖いんだけど…。

『これから東京に住むつもりだよ』

「はぁ！？」

今日一で驚かれた気がする。というかそんな大声で言うこと？
こうちゃんの考えていることがよくわからない。




「家どこ？」

『これから決める』

「仕事は？」

『仕事もこれから決める』

「はぁ…」

『うん？』


呆れた顔をしてため息をついたこうちゃんは、私の手を取ってカフェから出た。

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