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「あー、疲れた」
濡れた髪をそこそこに乾かしたジェヒョンオッパは、後ろから私を腕の中に閉じ込めてそのままベッドに倒れ込んだ。
狭い、と文句を言うなら自分の部屋に帰ればいいのに。
そう思いながらも、2度目のそれを口に出したら本当に帰ってしまうのが分かるから言葉にはしない。
ここにいられるのが嫌なわけじゃなくて、こんな少しの時間でも2人で過ごせるのが嬉しいのに、疲れているならゆっくりしてほしいという矛盾した気持ちが私を素直にしてくれない。
「また今度ドラマ出るかも」
「へえ、そうなんですか」
「Aと過ごす時間が減っちゃって寂しいね」
「、そうですね」
眠りに落ちる前にぽつりぽつりと話す声が好き。
本当に疲れていたようで、後ろから聞こえる吐息が規則的なものへと変化していくのがわかった。
いつかAは俺にあんまり興味がないねと言われたことがあるけど、オッパは何もわかっていない。
むしろその逆だ。
スタッフさんや他のアイドルがオッパの話をしているだけで気が気じゃない。この世界には綺麗な人がたくさんいるし、自信なんか持てない。
どうして私なんだろうって考えることもたまにある。
……嘘、結構頻繁に。
どうしようもなく不安になった夜に抱きしめてほしいと思っても、それが叶えられることはほとんどない。
これはジェヒョンオッパが悪いのでも私のせいでもなく、この関係が簡単に許されるものではないからだ。
後ろから回された手にちょんと指を添えると、手を繋ぐみたいにきゅっと引き寄せられた。
起きてる？無意識？
「A、」
「起こしちゃいました？」
「、寝れないの」
「ううん」
「どうしたの」
「なんでもないです」
「言って」
言うつもりなんてなかったのに、こういうときのジェヒョンオッパは逃げる事を許してくれない。
腕に込められた力を強くして、諭すようにもう一度名前を呼ぶから観念して口を開く。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年12月25日 22時
