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「電話終わった？」
電話に夢中になっていたからヨンホさんが近くに来ていることに気づかなかった。
「寒いでしょ、早く戻っておいで」
手を引かれて暖かい部屋に連れ戻される。
さっきまでと同じ体制に戻ったのに、さっきまでの柔らかい空気はない。
「………怒ってる？」
「どうして俺が怒るの？」
「でも、」
「怒るようなことAはしてないでしょ」
余裕そうに返事をしていたけど、斜め上に見上げた顔は怒っている、というか拗ねている顔をしていた。
こんな、子供みたいな顔で拗ねるなんて知らなかった。
私の前にいるヨンホさんは、いつも余裕があって大人だったから嫉妬なんてものとは無縁だと思い込んでいた。
「ヨンホさんって嫉妬とかするんだ」
「Aが思ってるよりも出来た男じゃないよ」
「そうなの？」
「うん、今だって嫉妬で狂いそう」
「え、なんで」
「なんでって、わからない？」
「わかんないから聞いてる」
「俺のことはオッパって呼んでくれたことないのにね」
私はヨンホさんのことをオッパと読んだことがない。
会社で間違えて呼んでしまうのが怖かったのと、先輩だったせいか呼び方を変えるのが恥ずかしくてたまらなかったからだ。
呼びやすい方でいいよ、と言ってたのに
実はオッパって呼ばれたかったなんて、
ヨンホさんは意外と可愛いのかもしれない。
いつも私ばっかりと思ったいたから、ヨンホさんが焼いているという状況が嬉しくて、思わず笑ってしまう。
背中から伝わる温もりを感じながらそんなことを考えていたら、胴体に回された腕にぎゅっと力がこもる。
「ねえ、」
「ん？」
「俺のこと妬かせて楽しい？」
「え、」
「俺がどれだけAのこと好きかちゃんとわからせないとね」
思ってもいなかった言葉にびっくりして振り返れば、
そのまま目の前がヨンホさんでいっぱいになった。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年12月25日 22時
