66.「ジェノが言ったんだよ」 ページ20
JN side
何か連絡したほうがいいんだろうけど、謝るのも弁解するのもおかしい気がして、何も文字にならなかった。
Aはきっと早起き出来ないと思う。
いつもの時間ですら眠そうだし。
運悪く寝坊していつもの電車になっちゃったとかそんなことがあればよかったのに、昨日の夜はなかなか寝付けないまま朝を迎えてしまった。
憂鬱な足取りのままいつもより早い電車に乗り込む。
次はAの最寄駅だ。
Aがいなくてもドア付近を陣取るのがいつのまにか癖になってしまった。
徐々にスピードを落として鮮明に見えるホームにAの姿を探してしまうのも。
馬鹿みたいだな、と自嘲して目を閉じた時に聞き慣れた透明な声色が聞こえた。
『ジェノ！おはよう！』
「、なんで？」
『なんでじゃなくて、おはようは〜？』
「…おはよ」
『眠そうな顔してるね』
「起きられたの？」
『ジェノが起きろって言ったから起きたんだよ』
「え」
『急いで準備したせいで色々雑だからよく見ないでね』
体の真ん中から熱いものがわいて身体中をいっぱいに満たしていくような感覚がした。
かわいい。ほんとうにかわいいなあ。
なんでこの生き物はこんなに可愛いんだろう。
自分に理性がなかったらこの場でぎゅうと力いっぱいにAのことを抱きしめているくらいだ。
「ねえA」
『ん？』
「２日目一緒にまわろ」
『いいけど、ジェノは２日目来ないんじゃなかったの？』
「誰に聞いたの？」
『ジェミン』
「気が変わった。Aと2人でまわりたいんだけど嫌？」
『、ジェノはずるいね』
「なんで？」
『嫌なんて言うわけないのに』
ずるいのはAのほうだよ、と言う前に電車は学校の最寄駅に到着してしまった。
いつもより早い時間のホームは人が少なくて歩きやすい。
スキップをするように跳ねながら少し前を歩いたAの髪の毛が、朝日に照らされて透けるようにキラキラ輝いていることばかりが焼きついて、
その日は一日中そわそわして落ち着かなかった。
あんまり話したことないクラスメイトからも「ジェノくん何かいいことあったの？」と聞かれてしまうほどに。
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ロク(プロフ) - ゆさん» 返信出来ておらず申し訳ありません…😭完結したので最後まで読んでいただけてたら嬉しいです🥺 (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - いつも陰ながら楽しませていただいてます！今回のお話もたくさんキュンキュンしました~^^これからも応援しています！ (2023年3月16日 9時) (レス) id: a3a66f07ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロク | 作成日時：2022年7月18日 9時
