28.「ずっと前から好きな子がいる」 ページ28
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体育祭が終わり三人とファミレスでごはんを食べた後、
ジェノと二人で電車を待っているところで女の子に声をかけられた。
先帰ろうか？と聞いたけど「ここで待ってて」と言われたので大人しく待っていることにした。
何の話をしているんだろう。
会話は聞こえないけどきっと告白だろうな。
「おまたせ」とにこにこ声をかけてくるジェノはほとんど犬に見えるんだけど、それを言ったらさすがに怒るだろうか。
うーん、ジェノの怒ったところを想像してみようと思っても、そんなところ見たことがないからどうしても思い浮かばない。
考えながらジェノの顔を眺めていると
「なに見てるの」と言いぽんぽんと頭を撫でられた。
『あ、告白された？』
「まあ」
『付き合うの？』
「Aは俺に彼女作ってほしいの？」
『いや、そういうわけじゃないけど、……ジェノもすぐに彼女出来そうだなって』
「そんなことないよ」
『ジェノってなんで彼女作らないの？』
「…Aがそんなこと聞いてくるなんて珍しいね」
『ずっとこのままでいるなんて無理ってロンジュンもマク先輩も言ってたから』
まずいことを聞いてしまったんだろうか。
ニコニコとした柔らかな表情はそのままにジェノは黙り込んでしまった。
丁度電車がホームに止まったけどジェノは立ち止まったまま動く気配はない。口を開くのを待っているうちに電車の扉は閉まり、出発してしまった。
「……好きな子がいるんだ、ずっと前から」
『、全然知らなかった』
「Aは気づかないよ」
『え〜？そうかなあ。あ！ねえ、好きな子ってどんな子なの？』
ジェノに好きな子がいるなんて知らなかった。
私とジェノは一回も同じクラスになった事がないし、
知らなくても当然だと思うけど、
なんだか仲間外れにされたみたいでちょっとだけ寂しい。
他のみんなは知ってるのかな。
まあ、でもジェノがずっと片想いをするくらいならきっとすごくいい子で可愛くて頭もよくて運動も出来て、とにかく完璧な子なんだと思う。
知らないけど。
そうであって欲しいし、ジェノの隣にはそういう子じゃないと似合わないと思う。
「可愛くて守ってあげたくなるような子だよ、すごく鈍感だけど」
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作者名：ロク | 作成日時：2022年5月8日 2時
