24.「ロンジュナのために行く」 ページ24
HC side
体育祭当日の今日は、軽快な音楽が校庭に鳴り響き、雲一つない晴天は気分も明るくしていく。
次は玉入れらしく、確かAとロンジュナが出るってジェノが言ってた。
こいつら確か去年も同じことをしていたような…。
ロンジュナはともかく、Aは運動神経がないからこれしか出られるものがなかったんだろうな。
Aのださい走り方を思い出して
思わず笑いが零れてしまったところで
「なに笑ってんの」と声をかけられ
振り返ると、想像した通りの顔がいる。
HC「何してんの、勢ぞろいで」
JM「可愛いうちのロンジュナとAの応援に行かないと」
JN「ドンヒョガも行く？」
MK「でも、こいつは、えっと」
JM「マクヒョンは変な気使わなくていいんだよ」
JN「で、ドンヒョガどうすんの」
HC「…ロンジュナの写真撮るために行く」
別に幼なじみと友達の応援に行くことは何にもおかしくないはずなのに、なんでこんな言い訳じみた言い方をしているんだ。
意味深そうな顔をしてジェミンが俺の顔を除き込むから、
逆にグッと顔を近づけてみると頬を軽くたたかれ、大袈裟に痛がってみたけど誰も俺のことを気にしてくれなかった。
なんでだよ。
JN「あ、出てきた」
MK「可愛いな〜」
JM「ドンヒョガどいて」
いつもと変わらない笑顔でにこにこと見守るジェノ、真剣な顔をしてカメラを向けるジェミン、一挙一動に可愛い可愛いと騒ぐマクヒョン。
ぴょんぴょんと飛び跳ねる姿は確かに可愛い。
……いやこれはAじゃなくてロンジュンの話だけど。
MK「お、一位だって」
JN「すごいね」
JM「さすがうちのロンジュナとA」
無邪気な顔をしてこっちに向かって両手が取れそうなくらいぶんぶんと手を振るA。
そういえばこんな笑顔を向けられるのも久しぶりな気がした。
そもそも最近はまともに顔を見ることもなかった。
ロンジュンに腕を掴まれて退場していくAの姿を見ていたら、
灰色の感情が心を塗り潰していくような気がして、
二人から目を逸らした。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年5月8日 2時
