硬貨42枚 ウラ ページ44
眠りについたAを見て、ラギーは自嘲気味に笑う。
月明かりに照らされた顔は、今も昔も変わらない。愛おしい彼の頬をそっと撫でる。
あぁ、この気持ちは伝わっていない。良かったような、良くなかったような。
曖昧にしてきた自分の気持ちは、芽生えて今に至る。Aのことが好きだったらしい。
らしい、というのも自分の気持ちが何なのかわからなかった。
愛玩具としての愛らしさなのか、はたまた別の愛らしさなのか。
金さえ払えばAは簡単に手に入る。
ただし、それはほんの一時にしか過ぎない。
欲求を満たす存在。ただそれだけ。
目を覚ましたら自分の手からAは離れていく。そんな悲しいことあってたまるか。
それなら、いっそのこと手を伸ばさないほうが気が楽だ。遥か彼方に手を伸ばしても、届かないところには届かないのだ。そんなの子供だってわかる。
魔法があったって何もかもが手に入るわけじゃない。
本当は手に入れるまで追いかけていた。それが本能であり、サバンナで生きるラギーのスタンスだから。
それでも諦めなければならないほどの関係。
思考を切り替えてAの頭を撫でる。
気持ち良さそうに目を細めて、耳を揺らした。
いっそのこと拒んでくれたらどれほど楽だっただろうか。そうしてくれれば幾らか諦めもついたかもしれないのに。
何が何でも手に入れたい。幼い頃から欲しかった熱。
でも、それは禁断の果実だ。手に入れればたちまち泡のように関係が消えていく。
失うくらいなら手に入らなくていい。
嫌われるくらいならこの思いは隠密に。
『…ぅ、ん…』
ラギー「…可愛い子猫チャンだこと」
顎の下をそっと撫でると、Aはねだるように顔を上げる。
気持ち良さそうに尻尾が揺れた。
校内では自分だけが知ってる顔。
無防備で安心しきったような。警戒心なんてのは全くない、信頼しきった姿。
ラギー「………オレは、Aの幸せが1番大事」
自分の命と同じくらい大切なA。
そんな彼の幸せを願うのは至極当然なこと。
自分は関与してはいけない。大好きだから見守らなくては。
邪魔するだなんて言語道断だ。
ラギーは目を閉じて眠りにつく。
枕に1つ、小さなシミができていた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです！！ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年8月17日 18時) (
レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく読んでいて楽しい作品でした！またどこかで貴方様の作品に出会えますように（＾ν＾） (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください！応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます！お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか？ (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高！ (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：諒 | 作成日時：2020年8月2日 13時
