硬貨36枚 ページ37
1年B組の教室。窓辺で勉強をしていると、凛とした声がAの耳を柔く貫いた。
リドル「A。少しいいかい」
『……女王サマ?今日は1人なの?』
リドル「キミと話がしたくてね」
珍しいこともあるものだ。
握っていたペンを置いて、リドルが近付いてくるのを待つ。
バター、アーモンド、カスタード、イチゴの甘い香りに鼻を鳴らす。材料的にいちごタルトだろうか。
リドル「お礼をしたくて来たんだ」
『お礼………?僕女王サマにお礼されるようなことなんてないけど…』
リドル「僕のことじゃないよ」
普段は犬猿の仲とも言われている2人。
仲が悪いランキング上位に食い込むようなコンビだ。
憎まれ口しか叩かないA、それに癇癪を起こさざるを得ないリドル。
そんな片割れのリドルが、Aにお礼をすると言うのだ。
この場に生徒がいたら100人中97人が振り向くだろう。教室に100人も入れないが。
リドルは小さなケーキボックスを机の上に置いて優しい笑みを浮かべた。
今まで自分に向けられたことのない表情に一瞬たじろぐ。
リドル「ついこの前のテストでデュースを助けてくれただろう?」
『…あ〜そういえば』
リドル「彼が随分喜んでたんだ。Aのおかげだってね。僕からの些細なお礼だよ。デュースがお世話になったね」
『本人からはお礼言ってもらったけどねぇ』
リドル「僕も感謝しているんだよ。トレイと作ったんだ、受け取ってくれ」
『クラブサマって料理できるんだぁ…ありがと♡』
人からの礼を無下にするような極悪非道じゃない。有り難くもらうことにした。
純粋な好意でプレゼントを貰うのは久しぶり。
緩んだ頬に、リドルは目を見開いた。
リドル「初めてそんな顔を見たよ」
『僕の笑顔はそんな安くないから』
リドル「…何故そこまでしてキミは、っん、ん?」
ジー、と唇が閉じる。
デジャヴだなぁ、とAは眉尻を下げた。女王サマの驚く顔って面白い。
『あちゃ〜…ほら、別のこと話そ〜よ、ね?』
リドル「い、今のは一体…?」
『僕のユニーク魔法。学園長サマから聞いたでしょ〜?』
リドル「あれはそういう…へぇ、中々面白いじゃないか」
『前
リドル「………あぁ、フロイドの方か。何だか悔しいな…」
ピコンと頭の上に豆電球が浮かぶ。
思いの外面白く、Aは軽快に笑った。
一方リドルは眉間にシワを寄せた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです!!ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく読んでいて楽しい作品でした!またどこかで貴方様の作品に出会えますように(^ν^) (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください!応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます!お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか? (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高! (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:諒 | 作成日時:2020年8月2日 13時