【ツイステ】捕食者。【男主】

硬貨1枚 ページ2

静かな廊下に響く、小さな音。
校舎の3階、奥から2番目の教室に2人の男子生徒がいた。



そのうちの1人は、校内で密かに話題になっているA・アルメリー。



その噂というのも、思春期の男子の興味を掻き立てるには十分過ぎるものだった。




"金さえ払えば、抱かせてくれるらしい"




そんな噂が流れているのだ。



嘘かどうかは見てみないとわからない。本人は否定も肯定もしないから。そもそもそんなこと本人に聞けないというのが大部分の主張だが。



しかし、こんな状況を見たらそんなこと言っていられないだろう。




小さい音の正体は、主に机の揺れる音だった。
それだけではなく、生々しく肌が触れ合う音、熱い吐息、鼻から抜けるような甘い声が教室内に充満していた。



肌が重なる音と同時に甘い声が漏れ出す。
大きく机が音を立てると、Aはひときわ甘くなった嬌声と共に体を跳ねさせた。



体を離すと、Aは服を着ながら満足そうに唇で弧を描く。




『3回6万+オプションで合計67000マドルで〜す』


「ん、次もよろしく」




そそくさと相手が出ていくと、教室で1人、受け取った金額を確認した。
ペラ、ペラと捲り確認が終わる。
短時間でこんなにも稼げるのだ。これ以上割のいい仕事なんてどこを探しても無いだろう。




『さてと〜…次の準備しなくっちゃ』




自分で済ませる分の後片付けを終え、スマホに視線を落とした。
しばらく没頭していると、教室のドアが控えめに開いた。ベストの色は赤色。



見覚えのある顔に再び笑みを浮かべる。
そりゃあ太客なんだから、失礼があっては許されない。




『お久しぶりですね、先輩♡』




恍惚の笑みを浮かべ、再び机に背を預けた。



わざとらしく声を出しながら、頭の隅では夕飯のことを考えている。



それくらい、彼にとってこの時間は退屈なのだった。

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