夫がいつもお世話になってます。

【８匹目】 ページ9

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Aは、分かりやすく甘えてくる瞬間がある
それは俺の事をデイヴィスと呼ばない時



彼女は見ての通り少し天然なところがあって、ふわふわとした性格をした可愛らしい女だ
表裏なく、きっと家でもあんな感じなのだろうと思われがちだがそれは違う



ふとした気分で甘えてくることもあれば、俺が雌の猫と遊んでいるとそれに嫉妬して甘えてくることもある
何かいいことがあれば、褒めて褒めてと言いたげな顔で甘えてくるし、悲しいことがあれば何も言わずに甘えてくるのだ



その全てが狂おしいほど可愛くて愛しい
擦り寄ってくる彼女を抱きしめて、キスしたおしたくなってくる



そうして甘やかして、幸せをかみ締めた彼女がへにゃりと笑うのを見るのが楽しい



俺のした行為によって、幸せを感じてくれるだなんてこれ以上なことがあるのだろうか
この笑顔を見るのは俺だけだなんて、幸せにもほどがある



｢…あなた｣



…きた、これが甘えたい時に俺を呼ぶ彼女
本を読んでいた俺の後ろから手を回し、肩に顔を乗せてくる



｢まだそれ読んでる…？｣



｢いや、区切りがいいから大丈夫だ。｣



くるりと椅子を回し膝の上に横向きに彼女を座らせる
ん〜、と声を出しながら彼女は首元に頭を埋めていた
珍しく眠気が襲ってきた結果甘えてきたらしい



｢どーした、まだ寝ないのか？｣



｢一緒に寝る｣



｢もっと早く声をかけてきてもよかったんだぞ｣



｢だって集中してたから…邪魔しちゃ悪いと思って。それに…かっこよくて見惚れちゃってた｣



首元に埋めてた顔を離して彼女はへにゃりと笑う



｢全くお前は…俺を煽るのが上手いな｣



細い腰を抱きしめ、スンと肩口に顔を埋め匂いを嗅ぐ
風呂上がりのシャンプーのいい匂いがふわりと香った



｢…A、髪の毛全然乾いてないぞ｣



｢疲れちゃって｣



水滴は垂れていないものの、まだじっとりと水を含んでいる髪は、全く乾いていない証拠だった



背中と膝裏に手を通し抱き上げ、カーペットの上にゆっくり下ろす



｢少し待ってろ｣



洗面所から櫛とドライヤーを持って彼女の後ろに座る
ドライヤーの電源をつけ、彼女のツヤツヤとした髪に指を通しドライヤーの風をあてた



乾いた後、櫛で髪をとかしていると彼女が顔だけを少しこちらに向けた



｢私、あなたにこーやって触ってもらえるの凄く好きなんです｣



えへへと笑いながら恥ずかしそうに彼女は言う



…相変わらず、俺はお前に依存しすぎだな

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