夫がいつもお世話になってます。

【３８匹目】 ページ41

.



｢散々な一日だった｣



｢私は少し慣れたので楽しかったです｣



疲れた顔をしているデイヴィスに楽しそうに笑みを浮かべる
お互い耳に生えた獣の耳はまだなくなっていない



｢何か見つかりました？元に戻る方法｣



｢あぁ、昔の書物に元に戻る方法が記載されているのをさっき見つけてな、明日には薬を作る｣



｢ほんと？よかった…！｣



みんなにはからかわれるし、キングスカラーくんには毛並みがなってないとか言われて毛繕いされかけるし、楽しかったこともあったが疲れることの方が多かった



ハウルくんが似合ってます。って言いながら耳をぴょこぴょこ動かしてたのは可愛かったけど



｢じゃあこの姿もちゃんと見れるのは今日までですね｣



それはそれでなんだか寂しい
耳の生えたデイヴィスなんてもうこの人生で見ることもないだろう



｢ふふ…っ、かーわいい｣



てろんと倒れたデイヴィスの耳をつんつんと触る
それに合わせてピクピクと動く毛並みのいい耳がとっても可愛い



｢おい…｣



｢いーじゃないですか、ちゃんと触れるのは今日で最後ですよ？｣



｢…そーだったな｣



｢んにゃ"…っ！！｣



耳の裏側を親指で触っていたらむぎゅっとしっぽの付け根を掴まれる
その途端に背筋がゾクゾクとし、全身に鳥肌が立った



｢いきなり掴むのは痛いです…！｣



｢力加減が上手く出来なくてな、悪かった｣



そのままツゥ…と尻尾の形に沿って指を滑らせてくる
それが変にくすぐったくて、尻尾が段々と上を向いていった



｢ちょ…っ、デイヴィスっ！それ…っ｣



自分の意志と反して身体がビクビクと跳ねる
彼の肩に手を着いてその上に顔を置いた



彼は私の反応を面白がっているのかその手を止めることは無い



｢…っっ、〜〜っ！｣



首に頭をぐりぐりと押し付けるとやっと彼は手を離す
いまの数分だけで凄く疲れ、私は大きく酸素を吸った



｢今日が最後だもんな｣



そう言いながら彼は笑う
…完全に言う言葉を間違えた



だって彼はいまにも捕食してしまうような顔つきで、狩りをする前の獣のように目を光らせているのだ



｢…で、いヴぃす？｣



｢明日には戻ってしまうもんな？今日しかこの姿のお前を好き勝手にできないもんな？｣



"じゃあ仕方ないよな"



｢ちょ、ま…って、て！｣



・



・



・

【３９匹目】→←【３７匹目】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す