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【24匹目】 ページ26

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「…っ!」



空が闇色に染まる頃、急にガラガラと部屋の扉が開き、身構えてなかった私は肩が大きくはねた
扉の前にいたのはデイヴィスさん



こんな時間にどうしたのかな…?
今日は学校が忙しかっただろうし、来ないと思ってた



「すまないな、こんな夜遅くに」



大丈夫ですよ、と意を込めてフルフルと首を振る



「…声を元に戻す方法を見つけたかもしれなくてな」



…!



ほんとですか!?なんて声は出ない
その代わりにピクリと身体を大きく跳ねさせ目を見開いた



「ただ、この方法は本当に効くのか分からない。検証結果が文字だけで記載されていて具体的な資料がなかったからだ。」



それでも構わないか?と尋ねてくる彼に頷く
早く元に戻れるのならなんだっていい
一刻も早く声を取り戻して、またいつも通りにデイヴィスさんとお話をしたいもの



私の返答に、デイヴィスさんは口を開き、また噤む
どうかしたのかな…?
やっぱり話せない内容なのだろうか
そんなに大変な方法なのかな…?



「…すまない、やはり俺はこの方法をお前に教えたくない」



震えるのを無理やり抑えこむような声で、彼は私に言った



「この方法を教えてしまったら、お前は俺から離れてしまうかもしれない。俺はお前から…離れなきゃいけなくなるかもしれない」



彼の言葉に首を傾げる
少しの間部屋に沈黙がはしり、デイヴィスさんは大きく息をついてから口を開いた



「失った声を取り戻す方法の一つとして、愛するものとの口づけがあるらしい」



愛するものとの…口づけって…



言葉を理解したAはぽふんと顔を赤くする
だって、それって…デイヴィスさんと…っ、



「…?」



でも、どうしてそれが彼と離れなきゃいけない理由になるのだろうか



…あ、そうか



彼は好きな人がいるんだ
なのに私なんかとキスをしたら



…って、あれ?



私、デイヴィスさんに好きだなんて言ってない
隠してたから彼はきっと私の恋心には気づいてない



…じゃあ、どうして



震える手でスマホに文字をうって、彼に見せる



『…なんで、それがデイヴィスさんと離れなきゃいけない理由になるんですか』



きっとこれは聞かなきゃいけないことだ
どんな結果になったとしても、知らなきゃいけない事実であり真実



私のスマホに書かれた文を見て、彼は再び大きく息を吐ついてから、真面目な顔で私を見てきた

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あおい(プロフ) - 初コメ失礼します。リクエストになるのですが、二人が大喧嘩をしてしまう様子を見たいです!よろしくお願いします。 (2020年8月10日 0時) (レス) id: 34a265efc7 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 素敵なお話ありがとうございました!! (2020年8月9日 18時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - んんん、耳と尻尾が生えたクルーウェル夫婦最高でした…!まじでごちそうさまでした (2020年8月5日 20時) (レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 最高過ぎます!!リクエストになるのですが、、、魔法の力を高めたい夢主ちゃんはマレウスとリリアに教わり仲良くなる様子が見たいです!ついでにクルーウェル先生とリリアの絡みがあれば嬉しいです。笑 (2020年8月3日 17時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお - 最高でしたありがとうございました (2020年8月3日 15時) (レス) id: ec620c1410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルイ x他1人 | 作成日時:2020年7月28日 19時

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