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P−2◆オンボロ寮 ページ5

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「……だから、自分の目の届くナイトレイブンカレッジに通わせればひと安心だって?」

「その通り!! 流石我が娘、冴えてますねえ」

「いやこれ、前お父さんが自分で言ってたことなんだけど!」

「えっ! ……そ、そうでしたか?」


誤魔化そうとでもしているのか、クロウリーは不自然にAから視線を逸らして、天井のあたりでそれをふらふら泳がせ始めた。

Aの呆れたような視線に耐えきれず、クロウリーはゴホンとわざとらしい咳払いをして強制的に話題を変えた。


「ま……まあ、済んだ話をぶり返すのはやめましょう。Aも何だかんだで乗り気でしたし」

「それは、まあ……そうだけど」


Aが曖昧に言葉を濁す。

ナイトレイブンカレッジへの入学を、Aが早々に受け入れたのもまた事実だ。
拒否権だってあった筈だけれど、それを軽々と上回ってしまうほどの興味や好奇心が彼女には芽生えていた。父の学園がどんなものなのかを知ってみたくもあった。
正直、行っていいのなら是非そうしたいと思っていたほどだ。


「話を戻しますが……冗談ですよね、あんなところに住みたいだなんて!!」

──そこからかあ……。


一瞬そんなことを考えて思わず拍子抜けしてしまったが、Aはすぐ肩に力を入れ直してその表情を改めさせた。


「冗談なんかじゃない! 私は本気で言ってるの!」

「しかし、いくら何でもあのオンボロ寮(・・・・・)に住むだなんて……!」


オンボロ寮。
かつて寮のひとつとして使われていた、寂れて今にも崩れ落ちそうな建物は、ナイトレイブンカレッジの生徒や教員達からもっぱらそう呼ばれているらしい。

誰が呼び始めたのかは分からないが、的確かつかなり分かりやすいネーミングだ。「オンボロ」という単語ひとつで、誰もが同じような有様のボロボロな建物を思い浮かべることができるのだから。
年季がやや入りすぎている、蜘蛛の巣と埃でデコレーションされた廃屋には、誰も近寄ろうとしないのが事実だった。

そんな、住んでくれと頼まれても首を横に振って断固拒否する他ないオンボロ寮に、Aはあろうことか自分から住むことを希望している。
クロウリーが戸惑い止めに入るのも無理のない……いや、当然な話だ。

しかし当のAに、その反対意見を聞き入れる気は毛頭無さそうだった。
むんっと口を真一文字に結んでから、再び口を開く。

P−3◆箱入り娘は自立したい→←P−1◆学園長と「愛娘」



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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年3月31日 22時

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