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「お世話になります」
「なんだお前そんな辛気臭ェ顔して、そんなに不死川と離れるのが嫌か」
「とても嫌です。離れるくらいなら死のうと思いましたが実弥さんの命令なので仕方なく」
「お前は相変わらず…」
気分は最悪だった。
簡単な荷物だけまとめて宇髄さんの元に来たが、頭の中はずっと実弥さんの事でいっぱいだ。
なにもかも俺のせいだ。
実弥さんに嫌われたら生きていけない。
だが命令を出された1ヶ月間は死ぬ事を許されない。
「実弥さんに会いたい」
「初日に何言ってんだ、着いてこい部屋案内してやる」
黙って宇髄さんの後を着いていく。
広い庭は綺麗に手入れされていて、遠くから須磨さんが笑顔で大きく手を振っているのが見えた。
それに答えるように小さく手を振って視線をずらす。
きっと俺は、このまま実弥さんに受けいれて貰えない。
実弥さんは俺を拒絶したままだ。
「じっとしてろよ、まだ本調子じゃねぇんだろ」
「俺はずっと本調子ですけど」
「分かりずれェ奴だな」
宇髄さんは乱暴に俺の頭を撫でて、部屋の襖を開けた。綺麗に片付けられた一室を俺が自由に使ってもいいらしい。
少ない荷物を床に置き、隊服を取り出す。
羽織りを見ると余計に辛くなった。
「晩飯時にまた声掛ける。ちょっと休んでろ、疲れただろ」
「分かりました」
宇髄さんや雛鶴さん達はとても優しい。
だが、今の俺にはその優しさが辛かった。
実弥さんは俺に生き甲斐を見つけろと言っていたが、そんなもの何一つとして浮かばない。
実弥さんと一緒に生きること以外に望むものは何にもない俺は、この先何を糧に生きていけばいいのか。
畳の上で寝転がり香袋を握り締めと、何とも言えないどす黒く、嫌な感情に呑まれてしまいそうだった。
まだ初日、先が余りにも長過ぎる。
ゆっくりと立ち上がって、握り締めていた香袋を羽織にかける。自然と零れた溜め息に自分の事ながら呆れてしまう。
ふと窓に映る自分の姿を確認すると、虚ろな目をした暗い表情をしていた。生きている人間らしくない、無様な姿だ。
これでは実弥さんに否定されても仕方ない。
俺が誰に縋ることなく生きていける様になることを実弥さんは願っている。
だが理解しようと必死に気持ちを抑えようとすると、それに反比例して生への意欲が減退していってしまう。
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朝ギ(プロフ) - ゆきねこさん» コメントありがとうございます！更新遅くなってしまい大変申し訳ないです…これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです！ (7月13日 23時) (
レス) id: 6f172a3ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ - ふぁっ面白すぎて一気読みしました！更新待ってます！ (2023年4月14日 9時) (レス) @page16 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - ナハハさん» コメントありがとうございます！なかなか錆兎との絡みが少なく試行錯誤していますが、楽しんで読んでいただければ嬉しいです！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - あいせさん» コメントの有難いお言葉ありがとうございます！更新頑張っていきます！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
ナハハ(プロフ) - 私の推し(錆兎)の小説が少なかったのでこんなにも面白いお話に巡り会えてとても嬉しいです！応援してます！ (2022年12月7日 11時) (レス) @page9 id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝ギ | 作成日時：2022年6月14日 22時
