102 ページ5
.
「お前は俺と少し離れて過ごした方がいい」
「何で…ですか？」
実弥さんはまるで幼子をなだめるかのように優しく俺の頭を撫でる。
言葉の意味が理解出来ずに、ただ黙って実弥さんの言葉を待っていた。
今の話の流れでどうしたら�猯イ譴燭曚Δ�いい�瓩覆鵑徳�択に至るのか。
「最愛の兄貴を失って、割とすぐに俺と出会ったせいだろな。お前は他に生き甲斐を見付けるべきだ」
「俺の生き甲斐は実弥さんです」
「もっと視野を広げろ、そんな事ばっか言うんじゃねェ」
実弥さんの言葉を封じたかった。
これから発せられる言葉は、きっと俺を拒絶する意味合いを含んでいる。
安易に想像出来る。実弥さんの事なら。
俺がこんな考えしか出来ないのを、自分のせいだと思ってしまったのだろう。
「宇髄がしばらくお前の面倒を見ると言っている。分かったなァ」
「嫌です、実弥さんと離れません」
「命令だ。ひと月、行けるな」
「……は、い」
実弥さんからの命令に俺が背く事は一度もない。今までもこれからも。
�爐劼鳩遶甅猯イ譴覘瓩修涼姥譴个�りが頭の中を支配していた。
実弥さんからの拒否と捉えていい。それは間違いないだろう。
突如、目の前が真っ暗になる。この絶望的な状況で俺を支えてくれるものが何一つとしてなくなってしまった。
こんな感情が溢れてきたのは兄さんが帰って来なかったあの日以来だ。
この絶望の中で目の前を明るく照らして、手を差し伸べてくれたのは実弥さんだけだった。
その実弥さんからの拒絶。
ああ、早く死にたくなってきた。
「死ぬんじゃねェぞ。ひと月後に迎えに行く、じゃあなァ」
「はい」
目で実弥さんを追う気力すらなかった。
戸が閉まる音が聞こえ、深く溜め息を吐く。
力を抜くと、かたかたと身体が小刻みに震える。心臓の音がやけに大きく、脈打つ感覚が体内に響き渡る様だった。
ゆっくりと目を閉じてそのまま後ろに倒れ込む。
柔らかな枕が俺を受け止め、ぎしりとまたベッドが軋んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朝ギ(プロフ) - ゆきねこさん» コメントありがとうございます！更新遅くなってしまい大変申し訳ないです…これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです！ (7月13日 23時) (
レス) id: 6f172a3ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ - ふぁっ面白すぎて一気読みしました！更新待ってます！ (2023年4月14日 9時) (レス) @page16 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - ナハハさん» コメントありがとうございます！なかなか錆兎との絡みが少なく試行錯誤していますが、楽しんで読んでいただければ嬉しいです！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - あいせさん» コメントの有難いお言葉ありがとうございます！更新頑張っていきます！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
ナハハ(プロフ) - 私の推し(錆兎)の小説が少なかったのでこんなにも面白いお話に巡り会えてとても嬉しいです！応援してます！ (2022年12月7日 11時) (レス) @page9 id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朝ギ | 作成日時：2022年6月14日 22時
