【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ7)

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瞬殺、という言葉が似合う程に呆気なく核を回収した焦凍に〝流石やね〟とにんまり笑ってみせるも、ちらりとこちらを見るだけで、言葉が返ってくることはなかった。

各ペアの訓練を見終わった僕らは教室に帰る。

未だに暗い顔をしたまま１人で教室から立ち去る爆豪くんの後をこっそりと追いかけた。

｢これだけは言わなきゃいけないと思って…人から授かった〝個性〟なんだ｣

先客が居たことに驚いたが、そこに居る緑谷くんと爆豪くんの雰囲気は何やら重い。

出るに出れなくなった僕はこっそりと柱に身を隠すことにした。

立ち聞きなんてするつもりじゃなかったのに、なんて1人で焦ってしまう。

「いつかちゃんと自分のものにして、僕の力で君を超えるよ。」

凛とした顔つきで爆豪くんを見る緑谷くんに、以前のような情けない印象はない。

「なんだそりゃ...借り物？訳分かんねぇこと言って...だからなんだ！？今日....俺はてめェに負けた！そんだけだろが！そんだけ....

氷の奴を見てっ！敵わねぇんじゃって思っちまった！ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった....クッソ！あの赤色の髪の綺麗な面した奴にだって！

なあ！てめぇもだデク....！こっからだ！俺は....！ここで一番になってやる！！俺に勝つなんて二度とねえからな！クソが！！」

自身の力で立ち直った爆豪くんを見て、小さく舌打ちをする。

心をへし折れたと思ったのに、意外と立ち直るのが早かった。

緑谷くんの言葉から考えて、爆豪くんは恐らく幼少期からある種エリート街道まっしぐらだったのだろう。

ヒーロー向きの派手で戦闘向きの個性。

プライド高いからこそ、緑谷くんに負けたショックが大きいと思っていたのに。

｢なーんや、つまらへんの｣

僕の呟きは誰にも聞こえることはない。

次の日のHRでいきなり始まった学級委員長決めに盛り上がるクラスメイトを他所に、僕はぼんやりと後ろから爆豪くんを眺めていた。

昨日見た通り、すっかりと立ち直って前に進もうとしている。昨日の面影は全くない。

投票にて学級委員長は緑谷くん、副委員長が八百万さんに決まりあっという間に昼休みになった。

食堂に移動し、お目当ての人物を見つけて顔を覗き込んだ。

｢一緒にええかな？｣

｢………勝手にしろ｣

ぶっきらぼうに答えた爆豪くんの前に座り、彼の美味しそうな唐揚げを１つ手で摘んでぱくりと食べる。

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