【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ49)

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｢ここまでくると何かあるんじゃって思うよ。運命……因縁めいたもんが…まぁでもお前にとっては雄英襲撃以来になるか｣

ひたり、と首元に感じる冷たい感覚に背筋が震えた。

賑やかな客の声など一切耳に入らず、僕はこの男の顔を見てようやく気づいた。

｢お茶でもしようか。緑谷出久｣

死柄木弔……！！

奴は僕に〝旧知の友人のように振舞え〟と耳元で囁く。

僕の首に触れる４本の指……あと１本は何の為に残しているのか分からなかったが、人質に取られてしまい僕は奴に従うしかなかった。

何かと思えばヒーロー殺しが気に入らないらしく、僕に自分とは何が違うのかと尋ねてくる。

仲間と思っていた彼らはそうではなかったようだ。

死柄木弔のことは理解も納得も出来ない。だがヒーロー殺しは納得いかなくとも理解は出来た。

僕もヒーロー殺しも始まりはオールマイトだった。

それにあの時、脳無に連れ去られようとした僕を助けてくれたのはヒーロー殺しだ。

少なくともあいつは壊したいが為に壊してたんじゃない。

雄英襲撃の際の死柄木弔みたいに徒に投げ出したりもしなかった。

やり方は間違っていても理想に生きようとしてた。

僕の言葉に反応した死柄木弔の目から感じた恐怖に嫌な汗が止まらず息苦しくなる。

｢全部オールマイトだ｣

そう言って笑った死柄木弔の不気味な笑顔に思わず息を吸うのも忘れるほどの恐怖を感じた。

なんでこいつがこんなにもオールマイトに執着するのか。その理由を僕は知る由はない。

｢あの時のやたら綺麗な面したガキ……椿 A。あいつは今日来てないのか？｣

｢来て…ない…｣

｢そうか…残念だなぁ｣

にやりと、笑う死柄木弔。

なんでここで椿くんの名前が出てくるのか。こいつがいったい何を考えているのかが分からない。

あまりに不気味な迫り来る脅威。

｢椿 Aに、〝あいつ〟が必ずお前を迎えに来ると伝えておけ。〝久しぶりの黒椿はどうだったか？〟と言えば分かるはずだ｣

｢黒…椿…？｣

〝迎えに来る〟という言葉に顔をしかめる。間違いなく椿くんが狙われていることは明確だ。いったい…何の為に…彼を…？

突如ギリギリと締まる自分の首。死柄木弔が力を込める度に息が出来ずにもがくも、力が緩まることはない。

ダメだ…っ！と思った矢先、姿を見せたのは麗日さんだった。彼女を巻き込む訳にはいかないと思い〝大丈夫〟だと必死で伝える。

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