【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ30)

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開始早々、焦凍を場外へ出そうと瀬呂くんが攻撃を仕掛けるもステージに聳え立つ巨大な氷壁に会場は静まり返る。

余りにも巨大な存在感。

自然と沸き起こったどんまいコールの中、自身が凍らせた氷結を左手で溶かしていく彼の背中は何故だか酷く悲しそうに見えた。

そんなに、自分の左側が嫌いなのか。

彼がエンデヴァーさんを憎む理由も分かるが、いくら父譲りの個性だとしても…それは焦凍の物なのに。

届く事のない僕の思いは募るばかり。

上鳴くんは〝女の子〟だと油断したせいで、見事な瞬殺によって敗退した。僕の前の席に座る緑谷くんは個性観察をしているようでなにやらぶつぶつと呟きながら必死にペンを動かしている。

｢デクくん会ったときから凄いけど…体育祭で改めてやっぱ…やるなァって感じだ｣

そう言って笑う麗日さんはなにやら複雑な思いがあるようだった。もちろんそれに彼が気付くことはなく不思議そうに首を傾げるだけだった。

次の試合は飯田くんとサポート科の発目さんだがもう時期始まる自分の戦いに備えて控え室へと急ぐ。

『容姿端麗！ミステリアスなヒーロー科椿 A！！』

ミステリアス？と僕はマイク先生の言葉に首を傾げたが会場はやけに盛り上がっている。青山くんと向き合うと、彼はSTARTの合図と共にお腹に装着しているビームを放ってきた。

｢お腹ビーム…ね｣

僕は避けることなく右手をかざす。触れたビームは霧状になって消滅した。もちろん落としただけだ。

『青山のビーム消滅！これは椿の個性かー！？まさかの無効化！？イレイザーヘッド！かぶったな！』

驚く青山くんの元へと駆け寄り腹部に蹴りをいれる。もちろんそのベルトを壊す目的で。

故障したことに慌てた彼の顎に１発失神K.O.で倒れた青山くんを見下ろす。

いとも簡単に2回戦へと進出する事が出来た。

｢椿くん、凄いね…｣

｢君も中々やったやん。驚いたわ｣

少し興奮気味の緑谷くんがノートをかかえたまま僕の方を向く。僕のこともそのノートに記されているのかと気になるがあえて聞かないでおこう。

空いている緑谷くんの後ろの席に座りしっかりと前を見る。スタートの合図と共に素早く動いたのは麗日さんだった。

｢退くなんて選択肢ないから！｣

回避じゃなくてなく迎撃をした爆豪くんはやはり緑谷くんが以前指摘をした右の大振り。うまく避けようとした麗日さんだったが反応が遅く爆豪くんの爆破がかする。

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