【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ28)

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｢椿 A｣

｢え？椿くん…？｣

いきなり椿くんの名前が彼から出たことに驚いたが2人が幼馴染だということは以前聞いていた。

｢中学に上がってすぐまでは仲が良かったんだが……何故かいきなり突き放されて今もそのままだ。あんまりアイツを信用するなよ｣

｢どうして…｣

｢何度も痛い目を見てきた。あいつに嫌われた理由は分かんねぇが………何かあるはずなんだ。聞いてねぇか？｣

｢なにも…聞いてないよ｣

寂しそうな表情をする轟くんを見て、彼にとって椿くんが大きな存在なんだと思った。

〝嫌われている〟そう言っていたけど椿くんにも何か理由があるんだろう。

あの時、騎馬戦でのチーム決めの際に感じた２人の交わる鋭い視線と冷たい雰囲気…

あんな椿くんを見たのは初めてだった。

でも今まで何度か轟くんに冷たい言葉を放つのを見たことがあるけど、決まって椿くんはその後に少し寂しそうな表情をするんだ。

彼の貼り付けた様な笑みの裏側にあるものがいったい何なのか…僕は想像すら出来なかった。

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『進出４チーム、総勢１６名にからなるトーナメント形式！１対１のガチバトルだ！』

組み合わせ決めのくじ引きをする直前、ミッドナイトの話を横切り思い口を開いたのは同じクラスの尾白くんだった。

どうやら彼は騎馬戦の際に味方の個性により競技中の記憶がないことで自身のプライドが許さないと、辞退を決めた。

こんなにプロヒーローの揃う場で辞退するとはなんて、勿体無いことをするなぁ…と思っていたが主審の采配を決めるのはミッドナイト。

｢そういう青臭い話はさァ……好み！！｣

好みで決めていいものかと驚いたが流石雄英…とだけ言っておこう。同じペアだったもう１人の彼も尾白くんと同様の理由で棄権し、B組の生徒が2名繰り上がった。

やっとくじ引きを行うことが出来、画面に映し出されたトーナメント表を見上げると僕の第一戦の相手は〝青山〟と書かれていた。

｢誰や｣

｢まさかの1番最初に麗しき同士の戦いになるとはね！｣

後から声をかけられ、相手の方を振り返ると何やらキラキラした人が決めポーズを維持していた。

まさか彼が〝青山〟くんなのか。

教室で見た事がある彼を思い出し、同じクラスの人だったのかと気付いた。

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