【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ16)

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｢焦凍、もう行こう｣

｢俺達の出る幕じゃねぇみたいだな…｣

｢緑谷！ここはもう退いたほうがいいぜもう。却って人質とかにされたらやべェし…｣

出口に向かって歩いていると、なにやら騒がしい後ろを不審に思い振り返る。

緑谷くんは自分の事など考えずにただただオールマイトを想って、敵へと突っ込んでいく。

僕にはそれが理解出来なかった。

いったい何が彼を突き動かす理由になっているのかが。

｢ごめんよ皆、遅くなったね。すぐ動ける者をかき集めて来た｣

出入口の方を見上げると大勢のプロヒーロー達が反撃をするべく戦闘態勢へとはいっている。

助けを呼びに行った飯田くんが無事に帰ってきた。

すぐに退却しようとする敵の捕獲を試みるも、攻撃を受けながらあっという間に黒い渦の中へと消えていく。

まだ早すぎる敵との対面、後に大事件に巻き込まれるなんてこの時僕らは知る由もなかった。

・・・・・・・・

｢ってえ……両手両足撃たれた…完敗だ…脳無もやられた。手下共は瞬殺だった…子どもも強かった…平和の象徴は健在だった…！話が違うぞ先生…｣

数発もの弾が身体に撃ち込まれたせいで痛さに顔を歪める。

立ち上がることもままならずに床に這ったまま画面を見上げる死柄木弔。

｢違わないよ。ただ見通しが甘かったね｣

｢うむ…なめすぎたな。敵連合なんちうチープな団体名でよかったわい｣

画面越しから聞き慣れた2人の声が聞こえる。

脳無の回収の不可を告げると意外にも簡単に諦めていた。

｢一人…オールマイト並みの速さを持つ子どもがいた…それにあの綺麗な面の子ども…いとも簡単に脳無を１度殺したな…｣

｢…ああ、朱色の髪に金瞳の男の子かな？｣

｢…そいつだ｣

脳裏に浮かぶのはにやにやと笑うやたら綺麗な面をした子供。

年相応には見えない落ち着きと、大きな闇を感じたことを思い出す。

恐ろしい程に冷たい雰囲気と視線。

どう考えてもアイツは敵側の人間だ。

｢3年前の誘拐未遂事件の被害者の子だね、確か……椿 Aくんか。彼は恐ろしい子だよ…いずれ手に入れればいいさ。まぁ悔やんでも仕方ない！今回だって決して無駄ではなかったはずだ。精鋭を集めよう！じっくり時間をかけて！

我々は自由に動けない！だから君のような〝シンボル〟が必要なんだ。死柄木弔！次こそ君という恐怖を世に知らしめろ！｣

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