二冊目「雲の王の悩み事」 前編 ページ2
空の世界に、わたしはよくあこがれる。
空に浮かぶ雲が、まるで城を形作っているように見えて、どうしてもその城が魅力的でならないときがある。こんなことを言ったら、変だろうか。
学校とか、クラスとか、友達付き合いが、どうしようもなく嫌でたまらなくなると、決まって私は空を見上げて、雲の世界に思いをはせる。
「いいなあ」
太陽に照らされ、何色にも染まり、旅していく巨大な城。何も嫌なことはないだろう、そんな世界の住人になりたいなんて、変だろうか。
「どうしたの？何がいいって？」
……そんな空想の世界に身をゆだねていた時に途端に声が聞こえ、わたしはびくっと肩を揺らしてしまう。そっと振り返ると、珍しい明るい茶色の髪が視界の端で舞った。そのままひとまとめにされたそれを宙に遊ばせ、彼女はにこやかに笑う。
「何がいいの？」
彼女はそう優しく繰り返すと、そのまま私の隣に立った。風が気持ちいいね、と笑う彼女は無垢な子供のようで、人を引き付ける輝きがあった。
「雲、大きいね。あれなんかお城みたい！」
ぼんやりと彼女を見ていたらそんな言葉が聞こえ心臓が跳ねる。彼女は単純にそう思ったのだろうが。そんな私は。
「……お城にはどんな人が住んでるのかな」
それにこたえるように言ってしまったが、言ったものは仕方がないので、慌てて次の言葉を探る。顔が熱いのを感じた。
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高空 - 夏蜜柑さん» ありがとうございます！少しずつの更新になりますが暖かく見守って頂ければ幸いです。 (2018年3月4日 14時) (
レス) id: afb8e92214 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - はじめまして！好きです！言葉の選び方がとっても綺麗でもう最高です…！更新楽しみにしてます！！ (2018年2月26日 1時) (レス) id: ec14c5022d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高空 | 作成日時：2018年2月25日 9時
